第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
ビーー!
ガチャン!
って音とともに、オレの腹あたりに何かがつっかえた。
先に進めないんだけど、何事、これ...。
「お客様、チケットを拝見させて頂いてよろしいですか?」
ニコニコと笑うお姉さん、どうやら水族館の人みたい。
「...けほっ...」
あまりに予想外な出来事に、頭が真っ白になって言われたままにチケットを差し出す。
目線の先にいたはずの鈴音は、遠くに行ってしまっている。
「はい、それでは再入場の為にスタンプを押しますね。手を出して下さ...ひぃっ!!」
水族館のお姉さんが悪いんじゃないのはわかってるけど、流石にタイミング悪すぎ。
そんでもってつっかえた腹が地味に痛い。それはそれで、癖になりそうにならない事もないけど...。
そもそも、こんな事になったのはクソ松がちゃんと鈴音を見ていなかったからだ。そしたらオレがこんなに走る事もゲートで引っかかってバーが腹を直撃して内臓を圧迫してむせ返ることもなかったのに...。
そうだ、全部アイツが悪いんだ。
もう何回考えたかわかんないけど...。
「ひひっひ....クソ松殺す」
にたぁっと笑いながらジンジンとしてるお腹をおさえて、出口をあとにする。
キョロキョロと辺りを見回してみれば、赤い自販機の所で一生懸命に背伸びをしている鈴音を見つけた。
ほっと胸を撫で下ろしながら、そっと鈴音に近づいていく。
一生懸命背伸びをしている為に、どうやらまだこっちに気づいていない。なんて声をかけていいかわからなくて、その後ろ姿をじっと見ていた。
「んー、もうちょっと」
ぐーっと小さな足に力を入れているせいか、ぷるぷると震えている。
「!!わっ!」
見ていられなくなってオレは鈴音を後ろから抱き上げた。強い鈴音の香りがオレの鼻腔を駆け抜けていく。
「あの...」
「...押せば?」
遠慮がちな声に反射的に返事をした。