第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
クズにだってくそにだって欲しい物の一つや二つくらいある。
それがどんなに手に入らないものだったとしても...。
「そこだけは、共感してやるよクソ松...。」
命の輪っかから外れて、永遠を生きるオレ達。
命の輪っかの中で懸命に生きる鈴音。
願っても願っても手に入らない物ってあるよね。
そしてそれは、1番欲しいと思ったものなんていうこともざらにある。
太陽光が眩しい、眩しくて溶けてしまいそう。
手を太陽にかざすと、透けているみたいに白い自分の肌が気持ち悪い。
摩ってみても、太陽光に当て続けても暖かくならない冷たい手。
「...寒い」
心が...寒い。
すきま風に吹かれているように寒い。
人の血を飲む事でしか生きていけないこの身体は、いくら暖めても暖かくはならない。
心は徐々に熱を無くしていく、冷たく冷たく氷みたいに...。
そうでないと生きていけない。
罪の重さと寂しさで死んでしまいそうになる。
いや、むしろもう死んでるのかも...。
途方もない時間の流れに劣化していく心、自分がなんなのか忘れてしまいそうで無性に怖くなる。
だから...。
「...欲しいんだろ、クソ松」
自分を暖めてくれる手が、冷たい手を暖めてくれる誰か。誰でもいいわけじゃない、でも誰がいいかもわからない。
どんなに願った所で、誰がいいかなんて気づけた所で、願った人はオレ達より先に死んでいく。
そんな孤独の中でオレ達は生きてきた。
まぁ、全員が全員そうって訳じゃないだろうけど。
認めたくないけど、お前もそうなんだろ?
だからわかるんだよ、嫌ってほどにその存在に焦がれるのも固執するのも...。
ぐっと拳を握ってから、それをほどいて見つめる。
寂しさを理由に鈴音を手懐けようっていうなら、許さない。
例えそれが誰でも、自分だったとしても...。
許せない...。