第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
なんだかんだで、リア充2人の後を追う。
物陰からコソコソついてきてみたけど、本当に仲良く見える。イタイセリフを吐きながら変なポーズとったり相変わらずなクソ松、普通一緒にいたらさ恥ずかしいとか思うでしょ。
でも、そんなとこ微塵もなくてただただ無邪気な笑顔をクソ松なんかに向けてさ。
それを見て、クソ松すっげー幸せそうに笑ってんだよ。
なにこれ、なに見せられてんのオレ...。
不愉快通り越して、ただの拷問なんだけど...。
もやもやと黒い影が自分から出てると思う。
そんな事を考えてたらいつの間にか日があたるエリアについた。
眩しくて目を細めると、さらに人相が悪くなる気がする。
海の中というよりも、森の中に近いフロア。
手すりの下からはプラスチック製の壁で、小さい子が近づいて見てても安心設計。
滝の音がザアザアと流れてて、前の会話が全く聞こえないんだけど...。
じーっと2人を観察してたら、ピタリと看板の前で止まった。
相変わらず滝の音がうるさくて、何にも聞こえない。
鈴音の前に跪いてから、頭を撫でて先へ進んでいくのが見える。
2人が階段に差し掛かかるのを確認して、そっと歩き出す。
でもどうしてあんなとこで立ち止まったのか気になって、黒い看板を見てみる。
「....生命」
ポツリと言葉を零して、辺りを見渡してみる。
この空間が命の巡りって意味なんだろう、だから生命なんだろうね。
「...オレ達には無縁だね」
与えられ、受け取り、与える、これを繰り返して作り出される輪っかが生命なのだとしたら。
オレ達は奪い、与える事もできずただ生きているだけ。
生命とは無縁と言ったって過言じゃない。
「それで、感傷に浸ってたわけ...?」
いくら悩んだって無駄、無い物は無いって折り合いをつければいいし諦めればいいのに...。
クズはクズらしく何も欲しがらず。
むしろ欲しがることすら烏滸がましいとか思わない?
「まぁ、人のこと言えないけど...」