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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜



「えっ...と、おひとり様でよろしいでしょうか?」

ちょっと困ったように笑っている(あくまで一松から見て)受付の人。

そりゃそうだよね、水族館でぼっちとか...。
ひひっ、オレにお似合いだよね。

もぞもぞと革ジャンの中で暴れるエスパーニャンコを必死に隠しながら、オレはサングラスをかけ直す。

正直人と話すのは苦手、でも今オレはクソ松だ。
いやクソ松の格好したオレ?
なんかややこしいけど、とりあえずクソ松のマネでもしてみる。

「そ、そうだ!オレの世界に他の者はいらない一人だ、静寂と孤独!それこそオレ!」

「かしこまりました、お気をつけて」

よりいっそうニコニコし出す受付の人。
頭についていたイルカの模様だけを見つめる。
要するに目とか合わせられない、いやサングラスかけてるからもともと合わせられないんだけど...。

でもこれだけはわかる。
確実に営業スマイルのなにものでもない、それ以外考えられない。

すっと渡されるチケットを受け取る。

「サ、サンキューだ...。」

とりあえずクソ松風にお礼は言ってみたけど...。

そもそもクソ松ってなに?
正しいコミュニケーションってなに?

わからない、わかるわけない!
もしわかってたなら入口でこんなに挙動不審になったりしない、クソ松のマネなんてしない、とびっきりの営業スマイルなんてされない、なにより懐に親友(猫)を隠したりなんかしなぁあい!

「にゃーお」

「...あっ」

入るのをもたついてたら、胸元からエスパーニャンコが飛び出してしまった。
顔だけ這い出して、オレを上目遣いで見つめている。
きっと息苦しかったんだろう、でも今出てきたら...。

「お客様申し訳ありませんが、ペット様は館内にお連れする事はお断りしております。ご理解頂けますようお願い致します。」

「す、すみません」

ずりっと落ちたサングラス、視界が明るくなったはずなのになんでか目の前が真っ暗になった気がした。

とりあえずこの言いようのない感情を、クソ松にぶつける事を再度また誓う。
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