第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
「いらないに決まってる、だってオレなんてただのゴミクズだし」
遠くから羨ましげに見るその光景は、僕にはあんまりにも眩しすぎて、それでいてこんなにも心が痛い。
「にゃーお」
心配そうにオレに向かって鳴くエスパーニャンコの頭をそっと撫でる。
「...鈴音」
自分で鈴音の事を避けていたくせに、勝手だよね。そんな事はわかってるのに、でも...。
だからオレはゴミクズなんだ。
そんな事を考えて上を向いたら、ふと赤い風船がふわりと空を舞う。
地上から遠ざかっていく風船に子どもが待ってと懸命に呼びかけてて、必死に手を伸ばしていた。
「...届くわけない」
それは誰に言った言葉だろう?
自分?それとも、その子どもに?
どっちにしろ両方とも正解...。
「それでも、僕は鈴音が...」
間髪をいれずに、必死に諦めようとしているのにその事を打ち消すかのようにエスパーニャンコが喋り出す。
僕の隠しきれない本音を...。
「お願い、言わないで」
エスパーニャンコの口を閉じさせて、瞳を見つめるととっても悲しそうな顔した僕がいた。
その顔を見てられなくて、懐にあったサングラスで目を隠す。
「にゃー」
自分の想いに一旦蓋をして、じっと前を見つめる。
「でもまぁ...」
それとこれとは別問題。
仲良くしてる相手がクソ松って事が問題。
「ひひっ、他の兄弟が鈴音とデートしてる事は許せるけど、クソ松の場合は...ひひひっ」
気に食わないものは気に食わない、そこに理由なんてない。
これを人間は逆恨みとでも言うんだろうか?
どっちにしたってオレが此処に来た目的はたった一つ。
「...鈴音とデート?たとえ他の兄弟や神様、仏様、悪魔が許してもオレは許さないから...」
ゲスい笑みを浮かべながら、暗殺者の如く背後をつけていく...。
そして第一関門がオレの目の前に立ちはだかった。