第9章 メイドは冥土を統べる
そうっとベルフェゴールの耳に唇を寄せて、優しく囁いた。
「じゃあもし、このマグナムの中身がsilver bulletだとしたら?」
その一言に一気に、青ざめるベルフェゴール。
まぁ、そのはずだよね?
銀の弾丸は悪魔や吸血鬼の弱点だものね。
すっとベルフェゴールの後ろにまわって、頭に銃をつきつける。
銃を持ってる件については、今朝のお風呂あがりのこと....
黒いバスタオルに紛れ込んでいのは何故だか銃器と、真っ白ななにも書かれてないメッセージカードだった。
私好みの銃。
誰が渡してくれたのかは、不明。
だけど弾丸をみた瞬間に思ったのは、誰かが私を守りたいと思っているんだという強い思いだった。
「な、なに冗談いってるの?う、うちは一松様のお気に入り.... 」
「だから?職務怠慢なメイドとかぶっちゃけ要らなくね?」
にこにこと笑えば、ベルフェゴールが懸命に爪を抜こうとする。
ギャラリーの笑い声は途絶えている。
静寂が支配する一室で、ぽそりと漏れる声。
「それ、そのバレッタ.... 」
ルシファーの声が震えている。
ベルフェゴールに銃を向けたために、がら空きの背中を守ったのはおそ松がくれたバレッタみたい。
「おそ松様のマーク.... 私だって私だって貰ったことないのに.... 」
悔しさと悲しさの入り交じった声だ。
まぁマークとか知ったこっちゃないけど。
ただルシファーがここまで狼狽えるってことと、さっきのベルフェゴールの言葉。
うんなるほど、お気に入りの証ってやつか。
そしてお気に入りは手を出されることはない.... と。
馬鹿松のお気に入りってのが気にくわないけど....
それにしても....
あいつ絶対に、確信犯だわ....
本当に嫌な性格....