第1章 伝説の始まり
花びらが晴れ、中心に立っていた少女が現れた。
きっとこの場に居た者達の感想は皆同じだっただろう。
彼女がゆっくり目を開く。
漆黒の瞳は燃えるような真紅に変わり。短かった髪は伸び、見事な緋色にかわっていた。
「きれい……」
美舟教諭が呟いた。
『綺麗』それ以上の言葉を用いてもきっと表現しきれない程の美しさを彼女は醸し出していた。
「私は昨夜、'この子'と対話をしていました。その際、この力を手に入れました。あの血痕はその名残だと思います。」
正直、あの時のことはあまり覚えていないんです。
そう言って申し訳なさそうに彼女は眉根を下げた。
「……し、して。君のその『卍解』の能力は?」
学長が彼女にそう問うと、彼女は少し考えたあと「蓋が外れるんです」と答えた。
「「「????」」」
我々が分からないと顔に出したからか、彼女は少し微笑むと話し始めた。
「私は元々霊力が出る蛇口が大きくって、1度使うとすぐに霊力が底をついてしまっていたんです。それをみて、軌道の先生は放出量を調整する為に打ち方を工夫してくれていたんです。けど、'この子'のおかけでその霊力を貯めておくための桶の上限が上がって、霊力を使える幅が広がったんです。」
簡単に言えば水桶の大きさが変わったことで使える水の量が増えた、と言ったところか。
説明を終えた彼女は「戻っていいよ。」と呟いた。すると、彼女からハラハラと漏れ出た花びら達は刀の刀身に吸い込まれていき、気がつけば彼女の姿も戻っていた。
その様子を見ていた学長は「ここに居ては惜しいなぁ」と呟くと、彼女に向け口を開いた。
「仄くん、卒業試験を受けて見ないか?」
「綴様!!!」
学長の言葉に美舟教諭は目を見開き、隊員当時の呼び名を呼んだ。
「美舟よ、彼女をここに置いていては惜しい。彼女の能力は実戦でこそ生きる力、それをここに置いていては宝の持ち腐れだ。君から渡された資料を見れば彼女が優秀な事は明らか、ならば実戦経験を積ませるためにもここを出して隊士として学んだ方がこの尸魂界のためだと思わんか?」
「それは………っしかし、彼女はまだ1年しかここで学んでいない。それでは現場で彼女が危険では……。」
「私達の頃は学院すら無かった。あの頃はすべて実戦で身につけた。その事は君も同じだろう?」
「それは……。」
