第1章 伝説の始まり
救護室で1日を過ごした私は救護の先生に連れられ会議室に入った。
そこには美舟教諭と学長、関わったことのない数人の先生が座っていた。
「気分はどう?」
「ずいぶん楽になりました。ご心配をお掛けしました。」
学園に来てからも変わらず無表情な私の顔色を確認した美舟教諭は、一瞬微笑むと学長に視線を向けた。
視線を受け、やり取りを見ていた学長は神妙な面持ちで口を開いた。
「……昨日の状況の解析を12番隊の方に依頼した。
その結果、あの場所で本来この学院で起こるはずのない事が起こっていたことが判明した。
………心当たりはあるかね?」
学長の鋭い視線を受け、背中に冷たいものが伝ったのが分かった。
「……いえ、特に心当たりはありませんが。」
そう答えた私の顔を数秒見つめ、学長は口を開いた。
「………調査の結果、あの部屋で卍解が行われた事が分かった。そして、君の寝具に染み込んでいた致死量を遥かに超える血液は、君のものと一致した。これがどういう事か、優秀な君なら分かるね?」
学長の問に私は唇をきつく結び何も答えなかった。
「………もし、君が卍解を会得したのならばそれでいい。しかし、また別の何かに襲われたのならば話は変わってくる。詳しく教えてはくれないか?」
仮にこの人達に私達の卍解を見せてすべてが丸く収まるとは思えない。彼岸花と仲直りをしたあと、彼に私達の能力について教えて貰った。それは、どう考えても大人達が管理したがる能力だった。
『この場で、卍解はするべきではない。』
左手で彼岸花の柄に触れているとそんな思いが流れ込んできた。
彼岸花、私もそう思うよ。けど……。
『なら、卍解しなければいい。代わりに……』
……なるほど、私達のは特別だから。
「どうしました?何があったのか話してくれないと、私達は貴方にどうしてあげればいいか分からないでしょ?」
美舟教諭が眉間に皺を寄せながらそう言った。
どうしてあげればいいか、だって?放っておいてくれれば良いのに。
『さぁ、見せてあげよう。僕らの力の一端を……』
私は浅太刀を抜くと、構えた。
私の突然の行動に先生方も刀に手を置いて臨戦態勢に入った。
「開け、彼岸花」
私の呟きと同時に真っ赤な花びらが私を包み込んだ。
花びらが消え、現れた私の姿に先生達の漏らす息が聞こえた。