第1章 伝説の始まり
「や、やめて下さい…確かにぶつかったのは申し訳ないと思ってます。」
「申し訳ないと思っとるんやったら、ちょっと位ご奉仕してくれてもええんとちゃうか?」
わー、なんてテンプレートな絡み方…
声のする方に視線を向けると、二人の男に黒髪のお嬢さんが絡まれていた。
「あのー、そこのお嬢さんがやめてって言ってるんだからやめて上げたらどうですか?」
暇だし、特に急ぎの用もないし、偶には良いこともして見るか。
「ああ"?」
「なんや、坊ちゃん。関係ない部外者は黙っといてくれるか?」
そう言って威嚇するように積んであった瓶を足元に叩きつけた男。
「……はっ。」
息巻く男達を鼻で笑って、男に挟まれ身動き取れないお嬢さんの手を引き、こちらに引き寄せた。
「お嬢さん、そんな所にいたら色々危ないよ?だからちょっと向こうにいっててくれる?」
「あ、あの…」
私の後に立つお嬢さんは心配を顔に貼り付け眉を垂らしていた。
さてと……こう言う女、子供を狙う輩はどうも昔から気に入らなかったんだよねぇ。
「何勝手してんだコラ!!」
「やっぱ痛い目見ないとわからねぇらしいなぁ…死ねやぁ!!!」
「はぁ…後で文句言わないで下さいね?」
わかりやすく怒りを表現して襲いかかってくる男達をかわし、それぞれに死なない程度の蹴りと踵落としをいれた。
「がっ!!!」
「うっ!!!テメェ…」
「ったく、相手見て喧嘩を売れっての…ってお嬢さん、大丈夫?」
呻く男達から視線を外し、後ろを振り向くと絡まれていたお嬢さんが腰を抜かしてへたり混んでいた。
「す、すみません。なんか…力が抜けて…っつ!!!」
へにゃっと笑ったお嬢さんは突然脇に付いた手を引っ込めた。
見ると、どうやら先ほどのビンが割れ散乱しそこに手を付いてしまったようで手のひらが赤く染まっていた。
結構切ってる…とりあえず血を止めないと。
そう思い、私は髪を止めていた結紐を解きお嬢さんの切れた方の手首を縛った。
「ちょっと痛いけど我慢してね? それで病院は…」
「あっ…」
髪を解いた私をみたお嬢さんは目を見開き声を上げた。
「死ねやコラぁぁあああああああ!!!」
そこに響き渡った男の声、咄嗟にお嬢さんを庇い抱きしめると首筋のギリギリを短剣が掠めた。