第1章 伝説の始まり
「いいですよ。」
「……??」
「朽木さんは、私の中の関係ない人から関係ある人にしてあげます。」
「……」
「その代わり、私の事『汝』とか『お前』って呼んだら関係ない人に戻りますから。」
「……ではなんと呼べば「仄って呼んでください。簡単でしょ?」」
ニンマリと笑う私に朽木さんは目を見開いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「朽木さん、ここなんですが…」
「そこは二班にまかせても良い、それより…」
あの一件以来、私は嫌がらせを受けなくなった。
何でも私は『朽木のお気に入り』だそうで、手を出したら朽木家に何をされるか分からないらしい。
こう言う時は、大きな家って便利だなーと思う。
「仄、この続きは明日の朝から行おう。この後諸用があるのだろう。」
「あ、そうだった。それじゃ、そろそろでますね。」
嫌がらせもなくなり、久しぶりに時間が出来そうだから、流魂街に出て買い物でもしようかと前々から計画してたんだよね♪
始解を獲得してから背が急に伸びたり肩が凝るようになったりと、服やら何やらと必要なものが増えた。
朽木さんに相談して見ると、霊力が強くなると体も成長して行くものだって説明された。
「さて、と」
自室で手早く学院指定の袴を解き、朽木さんに急遽もらった浅葱色の男物の袴履き直す。
長い黒髪を高い位置で一つにまとめ鏡の前に立つと、男に見えなくもない風貌になった。
「ん、まぁ大丈夫かな?」
潰した胸が若干苦しいが致し方ない。
流魂街に向かうと、いつも通り賑やかな声が通りに満ちていた。
『さて、私もさっさと買い物を済ませて甘いものでも食べて帰ろう。』
そう意気込んだものの、私は重大なミスを犯していた事に気づいた。
どの店に入っても店員や他の客に怪訝な顔をされる。
髪飾りを見ていると飾られた手鏡に自分の姿が映し出され、私はようやくこの重大なミスに気づいた。
今自分は、男に見えなくもない格好だった…。
『そら怪訝な顔をされても仕方ないか…』
男が女物の店を1人で回ってたら、不審極まりない。
その場を離れ、私はこれからどうしようかと路地裏の木箱に座り込んで考えていた。