第64章 original~如何にして個とするか~
私は組手が苦手だ。平子さんとは力の差がある。
「深く考えんと普通に実戦的な演練でもしよや」
そう言って、斬魄刀に手をかけた。
「そのつもりでしたよね?斬魄刀持って来てますもん。」
「バレてたか」
「本当の目的は?」
「暇つぶし」
「納得いかないんだよな〜」
「改めて、ポインティちゃんが死神であること、斬魄刀を持っていることにしみじみと感慨深いもんを感じたんや。ほんならちょっとひとつ、力試ししときたいな〜って。」
「散々殺されかけましたけど!」
「ポインティちゃんの虚化手伝ったときは俺もまだ心の中で整理できとらんかったしな!まぁちょっと俺もしばらく仮面の軍勢と離れて、身体動かすより事務作業増えてきたし、本気で戦える人と演練したいと思っただけや。拳西やローズ、白についてはあいつらの癖とかわかっとるし、味気ないやろ。」
そこまで説明されると断ることもないか。ここまで来て嫌だと言うつもりはなかったけど、気持ちは切り替わった。
「あ、斬魄刀、出せるよな?」
「ええ、ここに」
「便利やなぁ〜」
「斬魄刀、出しましたよ。鬼道はどうしますか?」
「かまへんでー」
ヒラヒラと手を翳す平子さんの背後には既に閃光が走っていた。
「えっいつの間に!?」
「当てようと思えば当てられましたよ。気付くように調整しました。」
「蒼火墜、いつ、どのタイミングで出したんや」
「40秒前くらいに仕込んでおきました。三十番台以上の鬼道は霊圧の揺れで気付かれるので、蒼火墜が限界ですね。」
「そうやって話してる時になんか仕込もうとしてへんか」
「さぁどうでしょう。」
平子さんが顔に手を置いた。
「ほんま、楽しませてくれるなぁ」
同時に私も手を置いて虚化する。
斬魄刀が触れ合った瞬間、霊圧がぶつかり突風が起きた。
「片手で抑えるなんて余裕ですね!」
「腕力で負けてられへんわ」
斬魄刀での斬り合い。お互いに激しい攻防だった。
「始解してええで」
「守護せよ花月!」
花月の花の刃が平子さんを襲う。
しかし、虚の霊力を交えた霊圧でなぎ倒される。
「虚化しながら始解してこれだけ戦えてるんすごいな。ここまで来るのに俺らは10年掛かったで。」
「元々成り立ちが異なるのも多少あるかもしれませんよ。私のは崩玉由来のものですから。」
