第64章 original~如何にして個とするか~
「なんですか、それ。」
平子さんがスマホを取り出して画面を向けた
「始末されてる思ってたんやけど、いくつか俺の昔の荷物が残っててな。ポインティちゃんの写真出てきたんや。」
そこには私と平子さん、喜助さんとひよ里の四人が映っていた。
「え、いつのですか?」
「覚えてへん」
どこかの隊舎での、何気ない一枚。誰が撮ったのかも分からない。
「見た目変わってないですね。特にひよ里。」
「それぞれみーんな立場とかは変わったけどな。」
画面を閉じて平子さんが珈琲を飲んだ。
「魂魄はどない?」
「特に問題ないです。」
「霊圧とか上げても問題ないんか?」
やってみた事がないから分からない、が正解。
「ポインティちゃんにとっては、虚倒すくらいじゃ準備運動にもならんか。」
「実際、虚とも戦ってないんですよ。」
「一番隊って実戦訓練ができる演習場とかあるん?あ、出来れば人目につかん場所がええな。」
「隠密機動班の演習場だとそれに近いかもしれません。」
「そこ連れてってや」
「構いませんけど。何をするために?」
「久しぶりに組手でもしよや。」
「ええ……」
特にすることがないと言えば無い。たまたま今は暇になっている。
「なにゆえそのようなことを申されるのですか」
「俺の趣味や」
「変な趣味ですね〜」
そう言って重い腰を上げた。
「ま、本当は、ポインティちゃんの虚化訓練のその後が知りたいだけや。アフターフォローってやつ。」
「そう言われると私は何も言えないですね。」
タブレットを手に取って美鈴六席に連絡する。
「演習場、空いてます。」
人工的に作られた山の麓にある、演習場。その山自体も演習場なのだが、砂の地面のグラウンドのような演習場に案内した。
「うちんとこより狭いな」
「山の分、狭くなってしまって。広いところが良ければ喜助さんところの勉強部屋を借りれますけど……」
「喜助に俺とポインティちゃんが組手するところ見られたらめんどくさない?」
「ジェラシー?」
「そういうこと」
「いや〜どうかなぁ……」
平子さんは眉をひそめて頭をかいた。
「ま、ちょっと運動してみよや」
「虚化しながら組手ですか?」
「ポインティちゃん相手にする組手なら、すぐ勝敗決まりそうやけどな。」