第63章 original〜尸魂界西梢局篇 散〜
20時間、あとは待つだけだという喜助さんは研究室で私の様子を見ていた。
「そんなに私と彼女では違う?」
「同じッスよ。」
「さっき違うって言ったじゃん!」
「そうでしたか?」
「違うから平子隊長も夜一さんも気付くって言ったよ。」
「なんでしょうね、言葉では言い表せないんスけど、何かこう、すっきりするというか。」
「……じゃあ、このまま乖離させたまま、あの子眠らせておこうか。」
「それは良くないスね。」
「あっ、そ。」
喜助さん、きっと心の中でもやもやとしてたのかな。蓮美のことを愛していたのに、転生した佐伯のことを同じように愛していいのか、とか。佐伯を蓮美として見ていいのか、重ねていいのか、とか。
簡単に言語化出来るほどのものじゃないものが絡まっていたのかもしれない。それが、私、蓮美としての私が出てきたことによって、変化が起きたのかもしれない。
蓮美の人格とは言えども、私も複雑だ。私を愛しているという言葉、それ即ち佐伯のことはー
佐伯ポインティでもある私には複雑すぎた。
それと同時に今、喜助さんを愛おしく思うこの気持ちは紛れもなく蓮美の、私のもので。
ポインティにはそれが無かったのかもしれない、そう思うと残酷な答えに行きつく。
「ポインティさんと話してると、貴女がチラつくんすよ。でも、今はそれが無い。それがすっきりするの原因だと思います。」
私と話していても、佐伯はチラつかないということか。
「……私、転生したの間違いだった?」
その言葉に喜助さんは暫くしてからこたえた。
「それが貴方の望みだったでしょう。」
「そんなこと言ってたこともあったか。でも、貴方と共に生きたいと思う気持ちの方が強かったよ。だからこそ、私の選択が正しかったのかがわからない。」
喜助さんは作業を始めた。
「間違いも、正解もないッス。自分が選び、進んでいる道を信じて歩くしかないでしょう」
「そう……かな。」
「またこうして会えたわけですし。」
本当にそう思ってる?と思うほど淡々とした声色に眉毛を潜めてしまった。
その夜、私は目を瞑っていた。私が寝ていると思っていたのだろう、喜助さんは私の傍で、振り絞るように小さな声で呟いた。
「なんで死神なんかになってしまったんスか。」