第63章 original〜尸魂界西梢局篇 散〜
私の霊力は殆ど無い状態で、ましてや魂魄の外壁は薄くなってるので、もう死闘を繰り広げる必要はない。
「義骸脱ぎまし……」
高濃度霊子で作られた義骸からでると、力が抜けた。相変わらず体の縁がモヤモヤとしている。
「すぐに終わらせます。」
私を寝かせた喜助さんは、私の心臓の辺りに手を置いた。
そして眩しい光が胸の中へ入っていった。
「術式を変えました。効果は同じッス。」
「ありがとうございます。」
「変わりありませんか?」
「はい。」
「貴女の魂魄の外壁の修復は、明日には専用の機械ができると思うので明日の夜か明後日に行いましょう。」
「わかりまし……」
私の魄動が大きくなった。喜助さんもそれを感じたようだった。崩玉への鬼道の副作用ではない。これは魂魄の形を保たせてくれていた崩玉の力が切れようとしている。
「すぐにと言うわけではないです。少し力が弱まっただけ。」
間もなく魄動は正常になった。
「思っていたよりも悠長にできないようっスね。ポインティさん、アタシの研究室で休んでください。何かあった時にすぐ対処できるよう。」
喜助さんの研究室はとても暗い。電子機器の明かりで視界は確保されているがあまりここに長くいたいとは思わない。
「このソファ、簡易ベッドになります。毛布と枕は持ってきます。」
ソファの背もたれをぐっと倒してベッドにしてくれた。
しばらくして私の毛布と枕を持ってくるとそこで横たわるように指示した。
研究室内にある機械を触りだした。暫くしてからふう、とため息ついて目元を抑えると、近くにあった椅子を持ってきて私の傍に座った。
「怖いと思わないんスか?」
彼が尋ねた。
「あまり……魂魄が溶かされたことと関係あるのでしょうか。」
「無きにしも非ず、ッスね。魂魄は感情そのもの。何かしらの作用はあるでしょう。もしくは、いえ。」
「今の私に何を言っても大丈夫です。濁さずに言ってください。」
「PTSDの可能性もあります。強いストレスによる感情の欠落。これは人間でも死神でも関係なく起こりますから。」