第63章 original〜尸魂界西梢局篇 散〜
もしこのまま蓮美人格であり続けることが出来たら?なんてことは考えないと言ったけど、頭の片隅にはある。
普段溶け合っていても、完全に2つの人格として分けられてしまった。……もし、喜助さんを思う情が私から漏れ出たもので、佐伯ポインティ自身には無いものであったら。
このまま眠っている彼女の人格を起こした時に喜助さんへの想いがなかったら。
今までは蓮美でもあり、ポインティでもあり。あまり深く考えてこなかった。蓮美として扱われることに嫌な気持ちは無いし、昔話も楽しい。
頭の中がグラグラ回る。
「肩と足の痛みは如何ですかな。」
「鎮痛剤が効いてるようです。」
「肉体の方はこちらで何とかしますので、魂魄の形を守っていてくだされ。」
義骸の中だと少し落ち着いた。義骸は仮のものだからちょっと重いとかちょっと疲れるとか、肉体に比べると動かしにくくて、好きじゃないのだけれど、霊子で作られたものの中にいることで、魂魄が安定する。
「遅いですな、浦原殿。」
あれから8時間近く経っている。
「テッサイさんは大丈夫ですか。ずっと結界貼り続けて頂いてますが……」
「なんのこれしき。今のポインティ殿には僅かな霊圧の揺れや外的な刺激でも危険でございますゆえ、付きっきりでやらねばならんのです。ポインティ殿は休んでいてくだされ。」
「これはまた酷くやられたな。」
「夜一殿!」
人姿の夜一さんが入ってきた。
「崩玉の力を使ったのか。」
「はい。」
「ということは喜助の仕込んだ鬼道を突破したんじゃな?」
「はい。」
崩玉の力は、私の霊力状態により僅かに漏れ出ることはある。
「浦原殿の鬼道の発動条件は崩玉の暴走時と使用時。それで鬼道の発動が無かったとなると」
「……あいつの鬼道も失敗じゃな!」
夜一さんが大声で笑った。
「すまんすまん、和ませたかっただけじゃ。使用とはいえ、邪な事でなはい。此度ばかりは感謝じゃな。」