第63章 original〜尸魂界西梢局篇 散〜
事実、私は本当に私だ。
平生よりも落ち着き、冷静なので違和感があるのだろう。私でもなぜこんなにも落ち着いていられるのかわからない。蓮美はここまで落ち着いた人間ではなかった。
何かを思い出そうと思えば100年前のことも思い出せるだろう。脳がもたないので辞めておくけれど。
ただ、表の私と乖離した。女子高生で死神で、まだ幼さが抜けなくて、人間であるが故に歯がゆさを感じている彼女と乖離し、奥で眠らせている。
私の魂魄は特殊だから、魂魄の記憶たる私はどうしても尸魂界での自分、つまり蓮美に強く影響を受けている。
決して蓮美そのものが前に出てきたわけではない。
蓮美とポインティは魂魄を同一にする。
魂魄が分解されかかった結果、絶対前に出てこないはずの誰にでも存在する魂魄の記憶の部分が出ているだけなのだ。
いくら記憶と情に強い結びつきがあっても大丈夫なはず。
「喜助ェ。ポインティを渡しにきたで。」
「ポインティちゃんって言ってくれます?」
「元気そうやな。」
「崩玉の力で今は苦しくないです。」
ガラガラと喜助さんが出てきた。
「たった今、リンさんから事情を聞きました。まずは義骸に。」
帽子を目深に被り、表情を見せない。
「雨、彼女の身体を綺麗にしてください。」
「はい!」
平子隊長から喜助さんが肉体を受け取るとそのまま風呂場へ直行した。服のまま湯船につけて雨に洗い方を教えている。
「顔赤なっとるやん。」
「ほんとですか?」
「じょーだん。ほら、義骸入って人格入れ替わってこい。」
平子隊長は私を降ろした。
「ほな俺は戻るわ。」
「アタシも行きます。」
「はぁ?お前はポインティんとこいてやれや。」
「そうしたいのは山々ですが。感情で動いてる暇はないんス。見るかぎりポインティさんの霊力、魂魄がかなり溶かされてます。いつ魂魄が霧散してもおかしくないです。早いところ処置をしなければ。そのために連れてってください。」
「わかった。リン!喜助もそっち行く。引き上げてくれ。」
鏡の中へ消える2人を見送った。
「霊圧の影響を受けぬように処置致します。」
「お願いします。」
テッサイさんの結界の中で考え事をしていた。