第63章 original〜尸魂界西梢局篇 散〜
「……しかしさっきからポールと連絡とれない。私の直属の上司ではないが、応援要請する。」
「……縛道の六十一【六杖光牢】」
鏡山の嬢ちゃんも気ぃついて、鞘に手をかけた。
「あれはなんだ。」
「姉ちゃんも、やってたやろ。マジックナンバーとか言うてた、あれのこっちバージョンのやつや。さて、そろそろその仮面剥いでもらおうか。」
そう言うと、鏡山の子が仮面を斬った。
仮面の向こうにあった顔はついさっきまで俺らと行動を共にしていた男のものだった。
「ポール!どうして!」
ナンシーは驚いていたが、俺らは何となく気が付いてた。
「言霊をここまで自在に操るには霊力が必要や。こんだけ一緒におったんやしあんたの霊力くらい身体が覚えとるわ。言い逃れは出来へんで。」
「まさかポール、マルティナを?」
ナンシーは部屋に置かれた棺を見渡して小さな箱へ真っ直ぐ向かった。
「マルティナ……」
「この子は?」
「ポールが19の時に生まれた娘。日本へ留学した時に現地の学生との間に生まれた子だよ。でも出産のときに奥さんは……マルティナだけ生き残ったけれど、ずっと病弱で、ポールが帰国してから1年後、4歳で。」
「娘を生き返らせようとしたの?」
眠っているようなマルティナの口から赤い液体が流れている。
「日本に留学していた時に、東梢局の奴らを見かけた。魂魄だけで動けているのなら、マルティナを呼び戻すこともできるんじゃないかって。まずなにより肉体を残す方が先決だったから、サバト調査のときに知った、ダン婦人にコンタクトをとった。彼女は昔、ドラゴンのミイラを意図的に作り投獄されている。彼女ならば肉体を残せると思ったんだ。」
「だから大図書館勤務志望していたの?」
「館長になれば稀覯本も読めると思った。実際は目当てのものは読めなかったが、サバトの家宅捜査の際に複写した本を見つけた。それを頼りに。」
「10年も前の話よ、そんな昔からこんなおぞましい事をしていたわけか?」
「上手くいき始めたのは最近だ。それまでは失敗続きだった。魂魄の昇華量で見破られるとは思ってなかった。ただこの調査に僕が選ばれたのは幸運だった。あまり詮索させないために東梢局への応援要請を進言したが、まさかそれがこの結果になるとは。」