第60章 original〜贖罪篇〜
「遺したいものと言えば、これくらいだな。」
そう言っていつかボクがあげた着物を抱いた。
「君が帰ってくるまで預かっておくよ。」
「ありがとうございます。」
「本当に寂しくないの?後悔はないのかい?」
「ありませんよ。向こうには喜助さんがいる。きっと生きてる。彼に会うための選択です。」
「うん、会えるよ、きっと。」
「お世話になりました、京楽隊長。」
「いいや、こっちこそ。美人さんとお酒飲ませて頂いて光栄だったよ。元気でねポインティちゃん。」
これはポインティが尸魂界で過ごした最期の日か。京楽隊長が去っていったあとの彼女は清々しい顔だった。
本気でボクに会えると信じていたんだ。
90年間のポインティの姿が走馬灯のように流れてくる。
ことある事に鼓舞していた。しかしながら、不安や孤独は彼女の精神や身体を蝕んでいく。やつれ痩せて、かつての彼女を知る人たちからは『だいぶ参ってる』と評されていたようだ。それでもボクに会えるとただ信じて転生、蓮美ポインティとしての死を選んだ。
彼女の周りには彼女を助けてくれる人がいるだろうと思っていた。しかし彼らが必ずしも彼女の孤独を埋めるものではなかったようだ。彼女にとっての90年間は胸にに穴が空いたような影があった。光は死であった、彼女のことを思うと胸が苦しい。
「ポインティ!」
「喜助さん!?」
彼女の瞳が潤んでいく。
「どうして尸魂界に?」
桜満開の木の下で彼女を抱きしめた。
「会いたかった、寂しかったよ、喜助さん。」
「もう寂しい思いはさせません。」
「ずっと一緒に居てくれる?」
「はい、ボクは貴女とずっと傍にいます。愛してます、ポインティ。」
「嬉しい、喜助さん……嬉しい。」