第60章 original〜贖罪篇〜
「部隊長なんて凄いよね。やっぱり喜助さん才能あったんだよ。」
「先生の仕事はどうッスか?」
「覚えることたくさん。実技だけじゃだめだもの。でも楽しいよ。」
「たくさん勉強してるんスね。」
「あぁ、その教科書?うん、最近はずっとこればっか読んでる。今のとこ実技だけだけど来学期からは座学も任せてもらえそうなの。来年度からは受け持つクラスも増やしてもらえるらしい。生徒達に認められるように人一倍頑張らないと。」
「ポインティが頑張っていると思えばボクも頑張れます。」
気付けばその言葉が自分の口から出ていた。
「私だって喜助さんに元気もらってるもん。私が鬼道を教えた人材がいつか喜助さんと共に戦う仲間になると思うと頑張れる。間接的に私も喜助さんと戦えるんだな、って思うの。」
屈託のない笑みを浮かべられて微笑み返した。
あぁ、この笑顔に何度も救われていた。この笑顔を守るために戦っていた。
「喜助さん、本当にこれをわたしに?」
「ずっと夜一さんからのお下がりばかりだったでしょう。あそこまで一流の反物というわけではありませんが、これを一目見たとき、ポインティの顔が浮かんだんスよ。」
「嬉しい……嬉しい……」
「ボク達は恋人なのに、それらしいことが出来なくて申し訳ないと思ってるんス。せめて贈り物くらいは。」
「貴方のその心が嬉しい。……これ、花嫁衣裳にする……。」
「ええっ?そんときはそんときで仕立てましょうよ〜」
「結婚してくれる気あるんだ。」
「あっ」
「いいよいいよ、喜助さんの仕事も軌道に乗り始めた。今じゃないことはわかってる。私はずっと待てるから。貴方の隣を歩いて行く心の準備はもう整ってるよ。」
そう言って着物をぎゅっと抱いた。
幸せそうな顔をしている貴女に甘えていたのは自分だった。貴女を想いながらも甘えて、後回しにして、取り返しのつかないことをしてしまった。