第60章 original〜贖罪篇〜
「俺がお前への対策を練ることなくこの姿になったと思うか?」
「なに?」
「500秒経った……」
彼がそう言うと鬼道で出来ていると思われる蔵のようなものが自分を取り囲んだ。
鬼道の類ならば縛道でなんとかできるはず
「縛道の八十一 断空!」
「無駄だ!夢幻回路縛の蔵!」
五百蔵一族の特殊能力のひとつか。
悟った時には暗闇に閉ざされていた。
「見えるぞ、お前の心が。」
彼の一族は人心掌握術に長けている。本当に心を読み、その心を溶かしていくのだ。
「人に覗かれると言うのは良い気分じゃ無いッスねぇ。」
暗闇に少しづつ風景が現れる。
懐かしい景色だ。まあアタシの心を溶かすには当然彼女の登場が予期されるわけですが。
「喜助兄〜!」
おっと、そう来ましたか。まだ出会って間もない頃の彼女。大変幼く、相応の子ども並に感情を爆発させる。あの頃は喧嘩も多かったように思う。だけどなにものにも縛られない日々を送っていた。現世でどこぞの姫君として幼く亡くなったと言っていた。品はあるように見えたが、どこが姫君だと言わんばかりのおてんばさんだった。
「じゃーん!」
視界が突然カラフルになった。
「おはなだよー!」
色とりどりの花びらを舞いあげたらしい。アタシの驚いた顔に満足したようにクククと笑うとさらに奥へと走っていった。
「あんまり遠くに行ったら危ないですよ!」
一歩前に踏み出すと、それが五百蔵の術中であることは忘れてしまった。前を歩く幼子を追って自分も走った。
「喜助兄さん、学校はどう?」
いつの間にか家にいた。自分は真央霊術院の制服を着ている。
「首席キープしてるのよね、凄いよ!」
「そんなことないッスよ。」
「夜一さんももう席官だよ。凄いよね。命を懸けてみんなを守る仕事。すごいなぁ。でも、死んじゃだめだからね。私をひとりぼっちにすることダメだからね!」
記憶にある出来事を忠実に再現されのめり込んでいく。
これを破る方法はなんだったかと僅かに思考出来る部分に血を巡らせた。