第60章 original〜贖罪篇〜
彼が中に入ろうと手を伸ばしたが、弾かれた。以前のアタシもそうだったように。
「ね?まぁ入ろうと思えばいくらでも抜け道はあるんスけど。さしずめ、尸魂界へ恨みばらしにでも行くつもりだったんスよね。そんなことの為に霊力を戻したアナタをみすみす逃す訳には行かないッス。」
杖の先で五百蔵の心臓を突くと、義骸が離れた。
「破道の五十四 廃炎」
即座に義骸を燃やした。
「久しぶりの霊体どうッスか。」
「身体が軽くなった気分だ。」
「そうっスか。」
「お陰で義骸を気にせず戦える!」
五百蔵の爪が伸び、武器となった。間違いなくこれは虚のものだ。
「五百蔵サン貴方一体どうやって霊圧を戻したんスか。これはどう考えても死神のものじゃない。虚のものだ。」
「喰わせた。俺自身をな。そして俺を喰らった虚の魂魄ごと俺が支配した。」
なるほど。死神と虚の境界を取り払うための崩玉。それらによって死神でありながら虚の力を手に入れたポインティサンや仮面の軍勢の方々。しかし目の前にいるのは死神の力を失い、人間としての魂魄になった者。彼は虚の力を受け入れるのに崩玉は必要なかったようだ。
「言うのは簡単ッスけど、難しいでしょ。」
「まぁな。俺は力を得るためにこの空座町へ戻ってきた。そしてやっとお前が出てくるくらいには霊圧を戻すことができたんだ。」
「ええ。貴方の義骸信号に異変がありましたからね。安心してください、尸魂界は捕捉できません。一度もあなたの元に死神は来なかったでしょう。ただ開発者として、義骸に異常があった際に駆けつけられるようにアタシにはわかるようにしておきました。永久保証を謳っていますからね。」
「戯言を。監視目的だろう。」
「バレてましたか?そうっスよ。尸魂界を追われた死神に義骸をお貸ししているのは、自らの罪と向き合って贖罪する権利があるというアタシの考えからッス。こちらへ来た時点で罰は与えられた。ならば今度は罪を償うことが必要でしょう。」
罪なき人間を収監する看守をしていた頃から、ずっと彼らの力を上手く活用できる場所はないかと考えていた。そして罪人にもただ罰を与えるのみでなく贖罪する道を立ててやる必要があるとも思っていた。
罪人だからといって見放すことは、人を救わないことと同義だ。