第60章 original〜贖罪篇〜
「なんだ、浦原喜助か。」
「お久しぶりッス。」
鬱蒼と繁る木々の中のボロ小屋の前。アタシが近付いただけで彼は気付いたらしい。
「30年ぶりか。」
「ええ。その後どうか様子見に来たんス。……姿見せてくれませんかね?」
ボロ小屋から布一枚を纏った男が出てきた。
「五百蔵 悟骨サン。見ない間に随分と変わりましたね。」
「嗅ぎつけて来たんだろう。」
「えぇ……契約違反ッスよ、五百蔵サン。アタシが貸したもの全て返して頂きます。」
「義骸やここで生きていくために必要な物、お前には世話になった。が、もうそんなものに用はない。俺はもうこそこそと人間のフリなどしなくてもよいのだ。」
「アタシもねコソコソして生きていく必要が無くなったんスよ。だからこそ現世でしてきたことには責任をもたねばならなくなった。貴方がアタシの言うことを聞いてくれないんなら多少手荒な真似しても文句なしッスよね。」
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60年前。尸魂界から追放されたこの男、五百蔵悟骨は霊力の無い霊体のままで空座町に倒れていた。耐えざる空腹、誰にも認識されることの無い恐怖を前に己の犯したことを悔やんだ。
「オマエ、魂魄ダナ 因果ノ鎖ハ ドウシタ」
「虚……か、……くっそ、霊圧さえあれば……」
五百蔵は無許可で虚の研究を行い、多くの虚を捕縛、実験の材料とした。それは尸魂界にとって益になるものでなく、害となるものであった。それに伴い数十の余罪も出てきたので情状酌量の余地無し、霊力全剥奪の上、現世へ追放となった。
「ナンダ死神ノ罪人カ。」
「虚で尸魂界転覆を企てた男の末路に相応しい。一思いに飲み込め!」
虚が五百蔵を飲み込もうとした刹那、虚は真っ二つになった。
「危ない所でしたね〜。」
「お前は……元十二番隊隊長 浦原喜助!」
「ご存知ッスか。アタシのこと。」
「50年近く前に追放されたお前が、なぜ長い時をこの現世で生きている。」
「正確にはそこまで昔じゃあないッスよ。ま、こんなところで野垂れ死なれても寝覚めが悪いんで、ウチに来てくださいッス。今日一日くらいは生き長らえることはできるでしょう。」