第58章 original〜五月晴れ〜
一国の王が賊に奇襲される時点でその国は終わりなのだが????という謎も頭に浮かぶが、ここはパラレルワールドの江戸らしい。ベルばらもよくしらんのでこれがどのシーンにあたるかもわからんが、なんせクラスメイトの熱気も凄いから、私の演技にも身が入った。
「やるじゃん、ポインティ。」
「というかこの役本当に出っぱなしだしセリフ多いし動きも多いわ!1週間で覚えられる量じゃない!」
「何言ってるの、ポインティちゃん。1か月前から練習してたよ?」
あぁぁぁっと頭をわしわしとかいた。まぁいいか。これのおかげで、面倒なことは考えずに済んでいる。
「おい!ポインティだろ!」
「すいません!」
舞里姫役の女の子の手を引っ張っていく。
「お前達、この方が誰と承知でその刃を向けておるのか。」
「大須賀……」
「御台様、あまり私の傍を離れぬよう。」
殺陣のシーンだ。頭に叩き込んだ台本の通り動きを見せる。
「……遅っ」
ボソッと出た声は周りに聞こえなかったらしくそのまま続いた。動きが遅くて敵役二人とのタイミングが合わない。
「カット!タイミングズレてんぞ!動きの確認だから遅くて構わんのだぞ!」
「遅いから逆にタイミング合わなくて……」
「お?そうなのか。お前らはどうだ、もう少し速くできそうか?」
「はい多分いけます。」
「俺たちバッティング毎日してるからな!棒振り回すのは得意ですよ!」
「じゃあ、お前らポインティに合わせてやれよ。」
「ウッス」
それは大変ありがたい。
切込みの確認をする。
抜刀左斜上押し合い右斜下 横振横振 斜上
「お前達、この方が誰と承知でその刃を向けておるのか。」
「大須賀……」
「御台様、あまり私の傍を離れぬよう。」
まずは懐に近付いて左斜め上に抜刀 次は……
しかし、敵役の男の子の木刀を弾いてしまった。
「カットカット!お前しっかり持っとけよ!」
「えっ、今、えっ?」
「もう一回すんぞ!抜刀からで構わん!」
懐に近付いて、左斜め上に抜刀
「ヒィィッ」
男子生徒が情けない声を発した。
「お前なぁ!刀落としてんじゃねえよ!」
舞台監督の学級委員長が叫ぶ。
「いやいやいやいやむりだ、むりだ」