第58章 original〜五月晴れ〜
フラグ立てるなよ。
少し刀を振ってみて鞘におさめた。
「うん、まぁちょっとはやる気でました。」
「そうか!なら良い。大須賀春松役は剣道部にと思っておったんじゃが、七海が断ったんでな。」
「あたし、初心者だもん、かっこよく振れないって!」
「それを言えば、ポインティだって同じじゃないか。」
「って、思うじゃん?先生ビックリするよー!!」
「七海!」
「ごめんごめーん!」
「みんなの分の袴だけは出来たよ!今からの練習で使ってみてー!」
上は体操服、下は袴。みんな絶妙にダサい。
「ちゃんとした袴は長いね。踏んじゃいそう。」
「裾切る?」
「ううん、慣れたら大丈夫。」
特務隊の時は通常の死覇装着てたし、足さばきも慣れればいけるかな?
「武士役の人たち着替えれたね!act11の奇襲のシーンいくよ!」
「殺陣のシーンはゆっくりで構わんぞー!とりあえず動きを身体に叩き込め!」
「何奴!?」
「将軍御一行とお見受けする。」
「貴様、この籠の中の方が誰か承知で……無礼者!命乞いをしても無駄ぞ!」
なんでみんなやる気あんのー!
「この寺の見張りはどうした。」
「既に殺されております。」
「女を奥へ誘導しろ。大須賀はどこだ!」
声は低く、声は低く。
「なんのさわぎだ。」
「恐らくは倒幕の輩よ。将軍様御一行が水戸に向かう際にこの温泉地へ宿ることをどこからか聞き伝えたのか。」
「いまはそのようなことをろんじているひまなどない。みだいどころをおまもりせねば。」
「大須賀、お前は御台所と共に外へ出て明朝まで息を潜めよ。」
「おまえはどうする。」
「なに、こんなところで命を落としはしない。こちらが静まり次第、お前と御台所を迎えに行く。」
「まかせたぞ。」
棒読みが過ぎるとめっちゃ怒られた。気持ちを込めろと言われても。
「こっこれは、何の騒ぎなの?大須賀!」
「倒幕派の連中が水戸へ身を隠すことを聞き及んだのでしょう。そのためこの温泉地で宿ると踏んでの奇襲です。」
「将軍様はまだここにはいらしてないの?」
「はい。ですがあちらには手練の近侍がおりますゆえ心配ご無用。」
「ここは?ここにおる者はどうなる?私は?」
「貴女様にはこの大須賀がついております。さぁ。ここは危ない。私と共にここを一度離れ、明朝まで身を隠しましょう。」
