第58章 original〜五月晴れ〜
喜助さんのいない家を見渡す。
まぁぶっちゃけ、喜助さんが死神になってからはいない方が多かったんだけどね。
そう言えば、彼のお気に入りの場所がこの縁側だった。月がよく見えるし、庭も手入れしていたから、広くはないけどthe日本庭園。大変雰囲気が良い。夜風が気持ちよくてここでよく晩酌したっけな。
私には縁側の定位置がある。というより、喜助さんに定位置があるから、必然的にその隣に座るというものだ。
生姜紅茶を飲んでほっと一息。
雲の切れ間から月がチラチラ顔を出す。
「めぐりあひて……か。」
紫式部の和歌がふと頭をよぎった。
喜助さんの座っていたところを撫でてみる。
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いつもの縁側で二人月を眺めていた。
「こんな時間がずっと続けばなぁ。」
「僕もそう思います。」
掠れた声でそう囁くと、私の髪の毛を触り始めた。心臓の音が大きくなって、すぐ近くにいる彼に聞こえてしまいそうだ。
「僕もッスよ。」
月に輝く錦糸のような柔らかな喜助さんの髪の毛に少し触れた。熱っぽい瞳が私の脳内を溶かしていく。愛おしさで、喜助さんの頬を手のひらで包んだ。
「誘ってるんッスか?逃げるなら今っスよ?」
むしろ逃がさないで、と空いてる片方の手を喜助さんの指に絡めた。
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「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
大きなため息と共に、蹲った。そして度々奇声を上げた。
「ヒィィィィ」
なんでいま喜助さんとの……それを思い出すのさ?!
鮮明すぎて目を覆いたくなる程の記憶だった。勿論そういうことをしたという認識はありその時の記憶も蓮美の一部としてあったのだが、今このタイミングで追体験の如くフラッシュバックしたため、妙に恥ずかしくなった。まだ心臓がドキドキしてる。顔も体も暑い。そうだよね、当たり前なんだよ、恋人だから。おかしいことじゃないのに、めっちゃ恥ずかしい。
「ギャァァァッ」
恥ずかしさを紛らわせるため、のたうち回って奇声を上げた。
落ち着いても、ふと思い出して挙動がおかしくなる。
「高校生だし、そういうの考えるのおかしくないけどさぁ〜!!」