第58章 original〜五月晴れ〜
「ってあれ?家の電気ついてる。」
現世へ戻る前に、こっちの家のメンテナンスをしたくて一晩過ごそうと思った。次に来る時に必要なものを把握しておくためなのだが、人がいる。
「喜助さん居るの?」
「あれえ?ポインティサン、現世へ帰るんじゃなかったッスか?」
「明日の朝ね。喜助さんこそどうしたの?」
「買い出しッス。 それから、貴方の部下の方々に営業をね。」
「レミリアちゃんのところか。」
外は雨だ。現世の傘を使ったとはいえかなりの距離を歩いたからびしょ濡れだ。隊長羽織をハンガーにかけて 風通しの良い所に掛けておく。
刹那、雷が近くに落ちた。雷鳴が轟き、地鳴りがした。
「酷くなる前に帰って来れて良かったッスね。アタシは困りましたけど。」
「喜助さんどこか行くの?」
「商店へ戻ろうかと思ったのですが、この雨が止むのを待ちますかね。ポインティサン、死覇装もびしょ濡れっスから、風邪ひく前にシャワー入ってください。それかお風呂沸かします?」
「シャワーでいい、今すぐあったまりたいし。」
「では、温かい飲み物用意しておきます。髪の毛も乾かしますよね。ブレーカー落ちないよう電圧確認しときますね。」
この家のライフラインは完全自給自足。蛇口捻れば、現世のそれと変わらない綺麗な水は出るし、お湯も出る。ガスコンロもあるし、明かりも基本電気。だが、時にご機嫌ななめになってしまうようだ。特に電気。すぐブレーカーが落ちる。喜助さんが研究用で使う分は特別性の蓄電機を使ってるらしいけど、生活用のは甘いのですぐ安全装置が働く。だから、家の電気は作業しない時はキャンドルをたくことも多い。
「雷鳴ってるしね。当たらなきゃいいけど。」
あったかいシャワーを浴びる。流魂街でこんな快適な家うちしかないだろう。いや、本当はこれが当たり前でなんの贅沢でもないのだけれど。
『喜助を惑わすことを言った』
夜一さんの言葉が反響する。見た感じ変わらないから、あまり惑わされてないのかな。どんなこと言ったのかそれとなしに聞いてみるか。