第57章 完現術篇 結
「はーーーい、みんなしゅーごー!!」
私は部下に呼びかけた。
「人避けしてあるけど、近辺10キロ圏内、人間の侵入が無いか、魂魄への影響がないか見回ってください!それから相手は人間。霊力の有無に関わらず、完現術者のことは見えます。目撃したと思われる人間には記換神機を使ってください!」
屋敷へと走った。壁の壊れたその一室に佇むはチャドさんと織姫さん。
「月島さんはどうなった?」
「あー、やっぱり月島を殺さなきゃだめなのかな。」
「え?」
「お前までなんてことを言うんだ。」
「ごめん、ちょっとだけ眠ってて!花月!」
「させるか!」
チャドさんが動いた。
「ちょっとだけ体慣らししますか?」
花月の刀をぶんっと振ると花びらが舞う。その甘美な香りは優しい気持ちになるものだ。
「三天結盾!」
織姫さんの盾は普通に殴るくらいじゃ壊れないくらいになっていた。
「どうしてこんなことになるの?ポインティちゃん!」
「寝て覚めたら全て元通りになるよ。」
喜助さんたちがこちらに近付いてくる。そろそろ合流かな。
「花月が出すこの濃い梅の色の花びら、凄くいい香りでしょ?」
「え、……うん。」
「ちょっと嗅ぐくらいならリラックスできるよね。」
部屋を満たす程に甘い香りが広がっている。
「多分そろそろ、」
彼らは座り込んでしまった。
「嗅ぎすぎると、脱力症状になるから気をつけてね?」
二人とも、意識はあるけれども床に転がるようになってしまった。放っておけば寝るだろう。
「あーだめだ、これ良くないのは私も効いちゃうところだよね。風月」
風月の風の力で空気を循環させた。
「はぁぁ、チャドさんなんか、眠り粉の効かなそうだし、こっちが確実にしても、うわっ、死覇装にも匂いついてる。やーだー。」
『良い香りじゃないですかぁ!』
「仕事中なのー。やる気なくなるのはまずい。」
そうこうしていると2人が入ってきた。
「すいません、あの縛道、解きにくかったですよね?てか、解きにくくしたんですけど。」
「ええ。ですがもう中にいた彼らのことはどうぞご心配なく。」
「ありがとう。この2人は寝てる……よりもちょっと深刻だけど暫くは動かないと思う。」