第56章 完現術篇 転
背中にあてがわれていた何かは無くなっていて、彼はそうだね。と言うと優しく私を離した。
「さっき、浦原喜助が近くにいたよ。」
「うん。霊圧で気付いてた。」
「彼にもあんまり関わらないでほしいな。」
「嫉妬?」
「うん。」
「やだ、可愛い。わかった。浦原商店には寄らないわ。」
「そうしてくれると助かる。」
「だったら、月島さんの家に連れてってよ。今日非番なんだ。久しぶりにデートしよ?」
「……」
彼はしばらく考えた様子でいた。
「わかった。今の住所教えてなかったね?ついておいで。」
あぁぁぁぁ喜助さんごめんよ!!!!!!!
でも察して!元隊長なんやし!
月島秀九郎のアジトは報告通りの場所にあった。
「月島さん!おつかれっす!」
「えっ誰」
ザ田舎ヤンキーみたいな男がいた。
「俺は月島さんの舎弟 獅子河原だ!お前こそ誰だ?!」
「彼女は僕の恋人だよ。」
「こ、ここここここ?!マジっすかそれ。」
「どうも、はじめまして。」
「はじめましてっす!!!!」
「頼んでおいたことは済んだかい?」
「今からします!」
「この部屋でなら適当に過ごしてくれ。デート、とは言えないけど僕はやることがある。本しか無いけれど好きにしててくれ。」
「はーい。」
月島秀九郎は隣の部屋に行った。
まじで本しかないな。
『名探偵風花ちゃんの推理なんだけどぉ……』
なによ風花。私はね、技術開発局に情報を送らないとダメなの。ちょっとでもためになることを探らないと
『つまり、さっきのコントも全部筒抜けだ!』
「あはは」
乾いた笑いが出た。
「やらかした……」
吐きそうなくらい恥ずかしい。技術開発局員の記憶を改ざんしてくれ、月島秀九郎。
部屋をウロウロするも、特にめぼしいものはない。私は言われた通り極力扉に近い場所で読書をしていた。