第56章 完現術篇 転
「南の心臓 北の瞳 西の指先 東の踵 風持ちて集い 雨払いて散れ 縛道の五十七【掴趾追雀】」
チャドさんの霊圧は隠されたように捕捉しにくかったけれども、私レベルになると空座町内にいるなら探せるのだ。てか、近くに一護もいるし!織姫さんもいるじゃないの!
作戦変更。女同士だし、織姫さんに用があるの〜てきな感じで近づこうかな。そっちの方が無難。
「……この辺りのはずなんだけどなぁ。」
屋根の上にぽん、と降り立つ。窓から屋根の方を見上げた濃いピンクの髪をした可愛らしい女の子が私を睨みつけた。
「あんた、だれ?」
声までカワイイ。
「霊力高い!私が見えるんですね!」
「死神?なんの用なの?」
「チャドさんからここで一護が修行してるのは聞いてます。貴方も修行を手伝ってくれてるの?」
「だから!質問に答えなさいよ!」
「ごめんなさい、私は佐伯ポインティ。しがない普通の死神です。」
「あんたが佐伯ポインティ?名前は聞いてるわ。で。なんの用?」
「織姫さんに用があるの!」
「あの女なら、回復係に専念してる。用があるならまた今度にしなね!」
「そう?じゃ待たせてもらうわ。」
そう言って窓からダイナミックお邪魔します。
「ちょっと!何すんの!」
「お客様ですか。」
いかにもバーテンダーみたいなおじさんが立っていた。
「井上織姫さんに用があるんです。だから待たせてください。あ、名乗り忘れました。佐伯ポインティ、どこにでもいる普通の死神です。」
「存じております。黒崎一護さんと同じように人間でありながらも死神となり、さらに隊長という役職をもっておられるイレギュラーと呼ばれる方。」
「ええ、私貴方たちのこと全然知らないんですけど……。さっきチャドさんに完現術の話聞いたばかりだし。」
「隊長のくせして身辺簡単に探られてるの超ウケるw」
「そうですよね〜。気をつけよっと。で、待たせてくれますか?」
「はぁ。死神とはあんま関わりたくないし。あたしが聞いてくるよ。」
女の子が消えていった。
「お飲み物は?」
「お気遣いなく。一護はどうですか?」
「類まれなるセンスと経験から、我々が完現術を習得した時より順調ではあります。」