第56章 完現術篇 転
「そう。よかったです。やっぱり彼は戦わないと。完現術なんて聞いたことないし、上に報告しようかと思ったけど、必要なさそうですね。悪い人たちじゃなさそうだし。」
「それは助かるな。」
そう言って出てきたのは強面の男。銀城空吾だ。
「貴方は……」
「銀城空吾。ここXCUTIONのリーダーだ。」
「えくしきゅーじょん?」
「あんたの自己紹介はいらねえ。一番隊長さん。」
「どうも。えーと、あの私、織姫さんを探しに来たんですけど……?」
「なんのために?」
「恋愛相談てきな?」
銀城空吾は無表情ではあったが、『はぁ?』と心の中で思っているんだろうなぁということは察することはできた。
「恋愛相談?はぁ?なにそれw」
「深刻なんです……。」
「あんたみたいなガキが恋愛相談なんておかしすぎwww」
「そんなに笑わないでください!私にはその今は恋人……とまでは言わないけれど、ざっと100年以上の付き合いの男性がいるんです!」
「はぁ?なにそれ、あんた人間でしょ?」
「尸魂界にいるときは恋人でした。」
「はぁ?何それ訳わかんない。」
「その人との悩みを聞いて欲しいんですー!織姫さんに!今すぐ!」
「わりぃが、彼女は一護の修行を手伝ってる。手が離せない。俺もそろそろあいつに本格的に仕込んでやる必要がある。こちら側の話をしてもいいか?」
「え?」
銀城空吾からの話?
「まず、お前は俺のことを知ってるか?」
……というと?と言おうとしたが私の心の中に水の音が響いた。水月だ。彼女が出てくる時は警戒しろ、という時。
「今は知ってます。」
「そうだな。死神の仲間たちはどうだ?」
「知らないと思います。私はさっきチャドさんから貴方の名前や完現術のことを聞きました。まだ報告はしていません。」
水音が響く。脈が速くなるのを抑えてくれているような安らぎの音だ。
銀城は私の瞳をすうっと見つめると深く腰掛けた。
「なら、報告しないでくれるか?さっきもあんた言ってたろ?」
「一護の仲間なら悪い人じゃないてしょ?あぁ、ただ一護の力が戻ればその報告に完現術という名前とかは必要になるかもしれません。」