第55章 完現術篇 序
物質変化の能力か。原理はどういうものだろうか。粉塵で視界が悪い中目を凝らした。月島秀九郎相手に一護側と思われる者たちが劣勢だ。
「隊長!」
「皆、あれが月島秀九郎よ。」
「監視隊も呼んでいます。技術開発局に協力要請し、断界の座標を定めてもらっていますので、20分以内に到着するでしょう。それまでは我々におまかせを。」
手助けしたいけれど、ここで出ていくのはデメリットが多すぎる。情か、益か。悩んでいると、一人の少年が何かしらの能力で一護を匿った。それにより、月島秀九郎は身を引いていった。
「やっぱり、織姫さんのところに行こう。」
私はすぐに織姫さんのもとに走った。
織姫さんはお風呂上がりの様子だったが快く私を招き入れてくれた。
「単刀直入に言うわ。織姫さん、貴方誰かに襲われたよね。」
彼女は少し戸惑ったような顔を見せた。
「月島 という男に、襲われたよね。」
もう一度、念を押して聞いてみた。すると彼女は肯定した。
「そう、だと思う。」
「だと思う?」
「上手く言えないんだけど、多分、この辺りを斬られた気がするんだけど、見ての通り元気だし!なにを斬られたんだろう、」
「織姫さん、手首ちょっとだけ借りてもいい?」
「あっうん!いいよ!」
「花月、お願い!」
花月の蔓が手首に巻き付く。彼女の霊力に異物が無いかを調べてみた。
『やっぱり分からないです。』
「私に染み込ませていた霊力もめっちゃ少なかったしね。ごめんね、織姫さんありがとう。」
「そのひとのことを調べてるの?」
「まぁね。石田雨竜さんのこともあるし。そうだ、なんで織姫さんこのこと教えてくれなかったの?」
「ポインティちゃんに言われたら、確かにそんなこともあったなぁと思ったんだけど、さっきまで忘れてたみたい!あたしったら、能天気だからさ!」
「能天気のせいで、石田雨竜さん襲撃の犯人の情報ひとつとり逃すかもしれなかったんだよ!」
「ほ、ほんとだね、ごめんなさい。」
織姫さんは、記憶障害が起こってないのかな。私は彼に斬られてすぐに月島秀九郎を味方だと感じた。だけど、織姫さんは斬られて暫く経つのに月島から襲われたと自覚している。この違いはなにか。