第55章 完現術篇 序
稽古を終えて、織姫さんを家までに送ることにした。
「夜は出歩かないように。虚の気配がしても、無視で構いません。いまちょうど、駐在任務とは別のある任務でうちの部下が現世にいてるんです。私も暫くは空座町にいます。ここは専門職にお任せ下さい。」
「気持ちは嬉しいけど……。」
「そもそも死神の仕事です!それから、石田さんを襲った人のこともあるので、変な人を見かけても深追いしないでくださいね!」
彼女が家に入ったのを確認して、尸魂界に連絡をとった。十二番隊の技術開発局を通して、一番隊に繋げてもらう。
『一番隊 席官室 蜂です。隊長どうかされましたか?』
「そこに副隊長ズいる?」
『いえ、確かもう隊舎にはいないかと。』
「あーん、そっかぁ。まぁ一応仕事のことだし、個人的な所にかけるのもダメかなと思ってこっちに電話したんだ。あとで鏡で呼びかけるよ。監視隊のリーダーの美鈴ちゃんには先に伝えようかな。あのね、現世にいる滅却師、石田雨竜が何者かに襲われたらしいの。」
「虚ではなく?」
「うん。詳しい話は聞きに行くけど、多分何も教えてくれないかな。本人も何者かわからなかったらしいから。」
「今回の一件と関係があるかもしれません。こちらで上官の皆さんに共有します。」
「キリちゃんには直接伝えるわ。ありがとう。」
さて、と。石田雨竜さんとこ行くか。
どこの病院か聞くまでもない。霊体である以上は、面会時間なんてあってないようなものだ。外科の男性部屋をウロウロしていた。
「霊力もかなり低いなぁ。この辺りのはず……」
こっそり扉を開けて中を覗き込む。
「面会謝絶のはずなのだが。」
中からの声で当たりの部屋だとわかった。
「あっ、何も持ってきてないです。ごめんなさい。」
「帰ってくれ。君に話すことは無い。」
「貴方自身も理解できない何者かに襲われたんですよね。もしかしたら、織姫さんやチャドさんが危ないかもしれません。その時の様子でもなんでも教えてくれませんか?」
「それは君の仕事か?」
「そうですね。」
「なら話すことは無い。」
頑固頭!と叫びそうになったがここは堪えた。