第55章 完現術篇 序
「でも……秀さんとの記憶ちゃんとあるよ?皆、知らないの?」
「俺も知らねぇな。」
「ポインティちゃんなら、中にある"秀さん"の霊力を感知して、取り出せるんじゃない?」
確かに!と私は思いついて自身に集中した。
「……花月手伝うよ。」
『無理だと思いますよ?』
「なんでそんな事言うの。」
『だって月島秀九郎の霊力を知っているのなら、私も簡単に取り出せますし、貴方もそうでしょ?』
「秀さんの霊力?」
秀さんの霊力?そんなのわかるに決まってるじゃないの、と思ったけれど、おかしい。わからない。あれだけずっと一緒に居たはずなのに、どうして?
『ポインティ様、それが答えです。』
「水月……。」
『私達を信じて貰えますね?』
静かに頷いた。それでもずっと私は彼との記憶を頭でなぞった。尸魂界にいた時からずっと彼は傍にいた。
現世で再会してから藍染を始め数々の困難を共に乗り越えた。
でもその記憶をなぞればなぞる程、齟齬や矛盾が判明していく。秀さんとは一体誰なのか。
「……お外の空気吸いたい。」
「だめだ。お前に変なことした奴がまた狙いに来るかもしんねぇだろ。ここなら俺や雨、テッサイさん、それから店長もいる。安全だろ。」
この状況を打破できたのはなんと1週間後だった。
これといったことをした訳ではない。というか花月の作業により、いつの間にかその異物が排除できたらしい。それは偶然の産物とも言えることだった。
「案の定だな。」
『私のこと信じていらっしゃればこうはなりませんでしたよ。』
喜助さんに放った台詞を思い返してのたうち回っている。
「店長、その日は機嫌悪かったよ。」
「やってしまった……。やってしまったよ。」
「今、店長いないから、出ていっちまえば?」
「ポインティちゃんを襲った人の顔も覚えてるなら、用心してたら大丈夫だと思う。」
うんうん、こんな奇怪なことを無視できない。すぐに報告、調査すべきだろう。
「とりあえず、尸魂界には報告すべき案件だからね!逃げたんじゃないよ!報告優先!ね?ね?じゃあお仕事行くね!」