第55章 完現術篇 序
水月の言葉に、風月、炎月、雷月の名を呼ぶ。誰もが返事が遅い。花月は技の凡庸性が高く、攻撃力が高い。相性を考えると、まだ炎の方が効きそうだ。
「炎月!花月の所へ連れてって!」
そう叫んだ瞬間ー
ぷつりと意識が遠のいた。
花月の甘い香りが鼻腔に届く。
気づく頃には意識は無く、気がつけば見慣れた部屋で横たわっていた。
「気付いた?」
雨が心配そうに私を見つめていた。
「布団……?!」
布団を被って寝ていたようで、私は状況を整理した。
「いて!?」
そして気付いたら、私の腕に刺さり、部屋を出て廊下にまで続く蔓。この先にはきっと花月があるのだと思う。
「はぁ!?花月どういうつもり!?」
叫びながら蔓を手繰り寄せていく。すると、腕の傍の蔓に蕾が表れた。あろう事か雨が私に覆い被さり、その蕾が花開いた直後に私にその香りを嗅がせる。
「…う……るる…っ!」
そうだ、このくだりこの1回だけじゃない。これで3回目だった。起きては寝かされ、起きては寝かされの繰り返し。どういうつもりなのか。次起きたら蔓を引きちぎってやる。
確固たる意思を持ち入眠。そして起床。
「花月!!!!」
起きた直後、蔓を引き抜こうと手を動かした。
「縛道九 崩輪……っと。」
直後に身体の自由がきかなくなる。
「浦原さん!!?どういうこと!!」
部屋にいたのは浦原さんで、まさに縛道をしたのも彼だ。
「いやはや、これは彼女らの言葉は本当だと信用に値するっすね。あぁ、すんません、花月さんからの依頼っス。」
「はぁ!??!」
「怒んないでくださいよ。」
「怒るって!!私の斬魄刀よ?!私の体に何してんのよ!」
「まぁまぁ。彼女らはいつも貴女を守る為の行動をとるじゃないですか。今回もそれっスよ。」
「これのどこが?」
「花月さんがこれ以上の眠り薬は危険だと言ってたんで、貴女が変な真似しないようにアタシが見張ります。さて。どうやって時間潰しましょうか。」
「この状況で!?」
力でどうにかなるもんでもない。鬼道でも仕掛けてやろうか。
「やめてくださいよ!?モーションの要らない鬼道うったりしないでくたさいっス。」
「読心術か!!」
そう突っ込むと、彼は分かるっスよ、貴方の考えてる事は。と言った。