第55章 完現術篇 序
「いらっしゃいませ、黒崎サン。」
黒崎サン、そこにいたのは一護ではなく、彼の妹の黒崎夏梨だ。
「夏梨ちゃん!久しぶり。」
「あれ?どうしてここに?」
「ちょっとね。……ってこっちのセリフよ。どうしてここにいるの?」
「おやおや、妬いてるっスか~?」
「そんなわけないでしょ!」
割と強めに言ったら、浦原さんがリアルな驚きを見せた。そりゃそうでしょ、私には秀さんがいるもの。
「あたし、元々見えるし、憑かれやすいんだ。でも前の一兄みたいに、自分でなんとかできる力はない。だからここでお役立ちグッズを買って自衛してる。」
「あー、そっか。虚退治出来る人は多いけど、魂葬はナントカ谷さんとうちの隊しかできないもんね。部下に言っておくわ。特に、黒崎家付近や夏梨ちゃんの学校や通学路のパトロールを厳重にするようにって。」
「是非そうしてあげてくださいっス。今日の駐在任務は……」
「んー、一般隊士3人みたいね。伝えとくわ。」
「ありがとう。」
彼女を見送り、そのまま研究室へと入っていった。
部屋には以前まで無かった大掛かりな装置が置かれていて、淡く光っている。
「これっす。ポインティサンの霊力ー死神の力を注ぎ込んでください。」
「それでいいの?」
「はい。」
斬魄刀を出して、その機械に差し込んだ。
「この針が赤いところまで来たら完了っス。安心してください。必要な霊力はそう多くありません。貴女にとってわかりやすい例で言うと、九十番台の鬼道全力したくらいの霊力っス。」
「まぁまぁね?!」
言いつつも、針が動き出す。私の体の感覚からも明確に霊力が消費されているのがわかるようになった。
モーター音と共に針が動き、赤いゾーンまで届くと音が鳴って、機械の動きが止まった。
「もういいっスよ。今のでこの機械にポインティサンの霊力が吸収されました。」
「これが一護の力になるのね。」
「あと数名の死神の力が必要っス。協力してくれる方はいますので、言ってももう、10日もかからないでしょう。」
「そしたら一護は死神の力を取り戻して、また戦えるのね。」
私がそう言うと、暗がりの中でもわかるほどに、彼は伏し目がちになった。