第55章 完現術篇 序
「はい!」
「このまま動かさないでください。貴方はどこが痛いですか。肋骨の他に痛いところありますか。」
声をかけながら応急処置を施していく。すると、楢津尾十八席が声を上げた。空に開かれる黒腔。さらにそこからもう一体の大虚が現れる。
「大虚がまた!!!」
「なにも心配いりません。現世へと出てくる前に消滅させます。」
氷の小屋から瞬歩し、黒腔の際に立った。巨大な大虚の目が数メートル先にある。
「相変わらず気味悪いわね。」
そう言って風月を呼ぶ。二つの鎌を両手に持って大きく振りかぶった。
風の刃の初撃と二撃目の攻撃により大虚の鼻先、目が裂けていった。顔の潰れた大虚は後ろへと大きく仰け反り退散しようとする。
「逃がさない!縛道の六十三【鎖条鎖縛】」
巻きついた鎖に引っ張られて、大虚は首を差し出すような体勢になった。さながらそれは断頭台にて処刑を待つ受刑者のようだ。
鎌を形状変化し、1つの鎌の形にした。それを大きく振りかざせば、斬撃により、大虚の顔半分が落ちて消えていった。その数秒後には、残された胴体も消滅する。
「す、凄い……隊長格級と言われる大虚をこんなにあっさり倒せるなんて。」
「隊長ですもの。」
そう返して処置の続きをした。
「結局、休日なのに仕事しちゃったわね。」
「この仕事に、本来の意味で休息はありませんから、仕方がないですよ。」
「私なんて2時間の休日だ。これじゃ休憩と変わらん。」
3人がぷんぷんしているのも無理はない。我々は破面という強敵と戦ってきたため、感覚が麻痺しているが、大虚が出たのだ。本来なら即報告案件。彼女らには帰還命令が出された。
「じゃあね、ポインティ。次は尸魂界で。」
「楽しかった!また、甘いもの食べようね。」
「皆によろしく。」
三人と、自分の部下を見送った。
さて。今日は実家に帰ってもいいのだが、浦原宅へ行くものか迷うな。顔出さなかったらいじけられそう。
彼は、一護の力を取り戻す為、色々と動いている。本来ならば霊法に反するのだが、あのじい先生が首を縦に振り、護廷隊士に対して積極的に協力するように呼びかけた。喜助さん曰く、もう少しで仕上がる、とのこと。
どうせ、研究室に根っこはやしてるだろうし、ちょっと行ってあげるか。