第54章 original~反実仮想篇~
「貴女は、蓮美ポインティとしてここで生きたかったですか。」
喜助さんが尋ねてきた。
「転生してからできた大切な人もいる。必ずしもそうとは言わない。」
「アタシが追放されない世界で、何がしたいとかありますか。」
「貴方の傍にいたいという願いは、現実世界でも変わりません。特にこの世界で何がしたいとかは無いんです。」
「困りましたね。」
「本当に。」
空が赤く染まっていく。雁が連なって飛んでいるのをぼうっと見ていた。
「僕、実は……」
「ん?」
「あの事件が無くて、魂魄消失案件が解決したら貴方に言いたいことがあったんです。」
「そうだ、それ気になってた。」
「聞きたいっスか?」
「聞きたい。」
「教えません。この言葉はその時になるまで大事に取っておきます。」
「ええぇ?100年以上も待ってるんだよ?」
「じゃあその言葉ではありませんが、この言葉を送りましょうか。」
「なになに、」
「僕はこの魂が消えるまで、貴女の幸せと笑顔を守りたいと思っています。」
喜助さん、違うよ。私の欲しい言葉はそれじゃない。
一緒に歩きましょうって言ってほしい。
「私もそうよ。喜助さんのことが好きだもん。」
彼の手が私の頬を包んだ。
「10年後にまた同じ言葉聞かせてください。」
「……もしかして、私が喜助さん以外の男に目移りすると思ってる?」
そう言うと肯定した。貴方はこれから沢山の人と出会う。その中で自分より素敵な人が現れるかもしれない。だから、アタシの言葉で貴方を縛りたくはない。
「私のこと信用してないわけだ。」
「信用というか……なんというか。貴方が幸せであればアタシはそれでいいんです。」
「たぁぁぁぁっ!もう!本当に腹立つー!!そういう所!!世捨て人か!!私は世捨て人の所には嫁ぎたくはない!!!」
喜助さんがどんびいているが気にしない。
「わかった。証明するよ!10年後……26歳になっても同じこと言ってやる!高校卒業して大学行って社会人になって、色んな人と出会って、死神とも交流して!男の人とも遊ぶよ!それでも私は貴方一筋だってこと、証明する。蓮美が貴方のことが好きだったから、その延長で好きだってわけじゃない。佐伯ポインティが貴方のことが好きなんだって10年かけて証明してやる!」