第54章 original~反実仮想篇~
眼下にある建物が 地面が 木々が 空が 少しづつ消えていく。
この世界の崩壊が始まった。
喜助さんは呆気に取られた顔をしている。
彼の胸に飛び込んでぎゅっと抱きしめた。
私が貴方を好きだと思う気持ちは確かに蓮美からの引き継いだものもある。けれどそれだけじゃない。
喜助さんを不安にさせないために現実世界で証明しよう。この世界ではできないことだから
「店長!ポインティ殿!」
テッサイさんの声で目を開けた。喜助さんもほぼ同時に起きたようだ。抱きしめ合うように喜助さんと私は蔵の中で倒れている。
「おかえりなさいっス。」
「ただいま。」
喜助さんの無精髭を優しくなぞると優しい表情をされた。
蔵の外でテッサイさんが泣いていた。
「ご無事で……!!ご無事でなによりです!」
「熱烈……。」
「ポインティサンは魅入られてしまったんでしょうね。我々でさえ認識できない存在に。好意のつもりだと思うんで、そう怒らないでください。」
「怒る……」
思い出した!!!
「喜助さん!なんであたしのこと無視したの!?」
「なんのことっスか?」
「昨日!私の問いかけに無反応で部屋の隅でいじけてた!」
「あ〜あれなんっスけど、寝てたんです。」
「はァァァい?!」
あの状況で寝落ち!?
「いやぁ~寝不足が続いてて、でもポインティサンが帰ってきたとおもったら心地よくなって、あんな状況でも寝てしまいました。気づけば夜ですよ。……で、黒崎サンの所に"遊び"に行ってましたよね?どうでしたか?黒崎サン。」
「あー?まぁそれは……」
「井上さんのとこならばいざ知らず。わざわざ男性である黒崎サンの所を選んだということは……アタシに対する煽りってことでぇ間違いないっスね?」
「んーんーん?どうかなぁ、え、怒ってる?」
「怒ってませんよー?怒ってはね?」
もう一回あの世界構築されないかなぁ!