第54章 original~反実仮想篇~
「そうっスね〜それは僕が一番痛感したことだ。」
「ね?ね?ほら、言いましょうよ!気になってたんだからさ!」
それでも喜助さんは首を横に振って私の頭に手を置いた。
「また今度っス。」
「ええ〜。」
言う気が無いのなら仕方がないか。
暫くその写真を見ていると、外で霊圧の揺れを感じた。
「近くはないけど……瀞霊廷の方ではないね。」
喜助さんは険しい顔をした。
「一番隊に連絡入れてから様子見に行きます。」
「一番隊……。」
一番隊、一番隊……。
「そうだ、平子隊長に連絡してもらっていいですか?」
「天挺空羅しかできないけど。」
「頼みます。要件は『副隊長は何をしているか。』」
怪訝に思いつつも平子隊長に伝言する。
「あいつなら、副官室で休んでるはずやぞ。」
「そうですか。」
「……喜助近くにおるんやろ。」
「はい。」
「俺、その場所行って様子見てくる。」
「やめた方がいい。」
喜助さんは酷く低い声で言った。
「ここでも貴方達を巻き込むことは出来ません。」
「は?お前何を……。」
「僕が見てきますので、貴方は副官サンを見ていてください。」
喜助さんは隊主羽織を着ないまま家を出ようとした。
「喜助さん、これ……。」
羽織に手を通すと、喜助さんは「重いな」と声にした。
「この羽織はただの羽織ではありませんからね。護廷十三隊の要である隊長としての責任、そしてこの肩にのる部下、死神、流魂街の人々、果ては現世に生きる人間の魂の重さ。ただの布切れではありません。」
私は喜助さんの背中に額を置いた。
私の肩も重い。なんでこんなに重いのだろうか。砕けそうな程に重いそれが何なのか未だわからず、重さから逃れるように息を吐いた。
「……一緒に行きますか?」
素っ頓狂なことを言い出した。
「貴女、言いましたよね。『戦える気がする。』なら、戦ってみませんか。」
そうは言ったけど……この霊圧かなり大きい。普通の虚ではないのはすぐわかった。
「場所は……まぁそこそこ遠いっスけどそれだけに、ここまで霊圧が届くということは大きな事件かもしれません。」
「目星はついてるの?」
「えぇ。恐らくはー死神の虚化実験。」
先日の死神たちの光景が目に浮かぶ。それよりもなぜか、喜助さんがそこに行って欲しくないと思った。