第54章 original~反実仮想篇~
喜助さんの情報収集に付き添うことになった。
「いいの?機密案件なんでしょ?」
「問題ないッスよ。」
ふーん、と返して喜助さんの後を追う。
どこか穏やかな表情の彼の様子が変な感じで、でも悪い意味ではないし、横目でまじまじとみていた。
「そんなにこの顔が良いッスか〜?」
視線に気付いた喜助さんは自分の顔を指さして言った。
「うーん。喜助さんなんか良いことあった?憑き物が取れたって言ったら大袈裟だけどなんか昨日とかに比べたら穏やかな感じする。」
「えぇこの顔に見とれてたわけでは無いんっスね。」
「この顔って、自分の顔でしょ。まぁ、整った顔立ちだとは思うよ。でも、私が好きなのは喜助さんの顔だけじゃないの〜。」
「ストレートに言われると照れますねぇ。」
はははと笑いながら喜助さんは立ち止まった。
「ほ〜ら、やっぱりここにいた。」
立ち止まったのは瀞霊廷内にある居酒屋。
定食屋も兼ねているが昼から呑めるので、非番の死神の溜まり場になっている。
今日も店の中は定食を食べに来た死神、酒を飲む非番の死神で賑やかだ。
その中に桃色の派手な着物を肩から掛けた大柄な男性の後ろ姿が目に入る。
「どうも。休憩中すんません。少しお時間よろしいっスか?」
喜助さんが向かいの席に腰をかけた。
「やぁ。十二番隊長さん。それと、ポインティちゃんだね。」
2人がけの席、テーブルの上にはおでんや昆布の佃煮、柚子風味の大根の漬物といった小鉢三種と魚の干物に加えて、猪口と徳利。
その席に座っていたのは京楽隊長だった。
「勤務終わりですか?」
と尋ねると人差し指を立てて口元に近づける。
すなわち、勤務終わりではないということだ。
女将が気を利かせて私に椅子を差し出してくれたので座る。
「ボクがここに長居してることは秘密にしといてくれないかな?特にリサちゃんにはね。」
「わかりました。」
そう言うと、優しく微笑えんで女将に私たちの分を適当に見繕うよう言った。
「で、2人揃ってどうしたんだい?仲人でも頼みに来たのかい?」
「なっ、仲人って!京楽隊長!気が早いです!」
そう言うと、楽しそうに笑って謝罪した。
「いやぁ、すまない。本当の要件は?」