第54章 original~反実仮想篇~
「こんなポンコツが上司とか、五番隊は可哀想やなぁ〜。よかったなあ、副隊長が優秀で!せやなかったら五番隊は崩壊しとるわ!ウチんとこと一緒や!副隊長が優秀やから辛うじてもっとんねん!」
「キンキン騒ぐなや耳痛いねん、ドアホ。」
「はぁ?!今アホ言うたか!?バカ真子!!!」
2人がこうやって言い争っているのを見るのは割と好きだ。
「おう、揃っておるな!」
再びの来客。夜一さんだ。
「どいつもこいつも勤務中やろ」
「あっははは。仕事が溜まってきたんでな。逃げてきた。」
「ここはさぼり場とちゃう!」
「まぁそう堅いこと言うな。ポインティ、元気そうでなによりじゃ!」
「怪我してた訳ではないので。」
「ところで喜助、お前のところで死神が虚化する現象について調査せよとの話じゃったろう。」
「ええ。それについてはある程度目星もついてますし、対策も練られます。問題ないッス。」
「そうか。報告書が出来ればうちにも渡してくれ。」
「わかりました。」
喜助さんがぽんと手を叩いた。
「みなさん、集まったことですし、ちょっとお話聞いていきませんか?あぁ今回の件とは関係ないんスけど。」
大袈裟に抑揚をつけたように声を張る。
「なんや話って。」
「シミュレーション仮説という言葉ご存知ッスか?」
私含めて皆首を振る。
「簡単に言えばこの世界は誰かの作った夢であり、我々は誰かの夢の住人に過ぎないといった仮説です。」
「哲学的じゃのう。」
「お前ついにおかしくなったか?」
「なんや、らしくない話やんけ。」
皆から不思議がられながらも続ける
「主人公には帰るべき現実があるのにも関わらず、それを忘れて誰かの見せる夢の世界の住人の一人となっています。自然に夢から覚めることも自覚することもなく、閉じ込められています。覚めるには外から干渉する他ありません。」
「喜助さんそんな本を読んでるの?意外。」
「夢の世界は主人公にとって特に不満のない世界ッス。さて、主人公は夢の世界の住人として生を終えるのが幸せか、それとも辛いことの多い現実へともどるのが幸せか。」
そりゃ夢から覚めた方がいいに決まってる、と言うと、皆もそう言った。
「喜助らしくもない話じゃ。哲学者でも目指すのか?」
「あぁ、いいえ。自分が個人的に扱ってる案件があって。ちょっと関係するんッスよ。」
