第54章 original~反実仮想篇~
「ただ厄介なのが、現世は現世でも数十年先の未来のような気がするんですよ。」
「なにそのSFみたいな。」
「SFとは?」
「サイエンス・フィクション。」
「"空想科学"面白そうッね。」
「宇宙戦争、時空戦争、人造人間、ロボット、AIそういうのをテーマにした創作物の話なんだけど、話しながら気付いた。確かに、今の現世ではまだそんな言葉流通してないんじゃない?」
AIってのは人工知能ね、と付け加える。
「そう、どこか貴女の話は時代錯誤なんですよ。」
「未来の現世に通ずる死神か。」
「そこに、僕に近しい人間を加えてください。」
「なんで?」
喜助さんはぐっと近付いて小声で話した。
「僕しか知らないはずの研究内容の一部を知っているからッス。」
「崩玉のことね。確かにそれについては……。」
「ええ。あれは……作り出してはいけないものだったんス。我々には手に負えないものだ。」
「否定はしない。でも、崩玉があったからさいかい、する、ことが出来た……」
「再会?」
一瞬だけ記憶がクリアになった。
「私の魂魄に崩玉の一部がある。」
喜助さんが目を見開いた。
「なぜ!!」
「わ、わかんない!!わからないけど、なんかそんな気がする。」
喜助さんが研究室に来るように言った。
急ぎ足でついて行く。
頑丈な金庫にそれは入っていた。
「……特に変化はありません。よかった。」
ドクドクと魂魄が脈打つ。まるで目の前にある崩玉と共鳴しているようだ。
「ごめんなさいしまってください。胸が苦しい。」
距離が離れると問題ないようだった。
「貴女の記憶については、こちらでも調べておきます。今日のところは眠ってください。」