第54章 original~反実仮想篇~
「危険だ、そこまでのことは、」
「何かわかる気がするの!」
戦っていると頭がクリアになる。こうやって戦うことが初めてではない感覚がして。何よりももやがかった記憶に指先が触れているような、図書館で調査しているときよりも近づくことが出来る。
「話してる暇は無い。お願い。」
「なぜだか、貴女が僕の知っているポインティではないように見えました。そこまで言うならば気の向くままに。」
虚化した死神は背中にできた羽を広げた。吊り星でその羽を固定してやると、上手く飛べなくなったようだ。観念して後ろ足を大きく使って近づいてくる。
「破道の五十七【大地転踊】」
虚の躰に岩石が飛んでいく。しかし、それに怯まず突進し、鎌を振り上げた。
瞬歩で交わし、空中へと舞いながら攻撃に転じようとした時、虚は口に霊圧を込めた。反鬼相殺するにしても、距離が近い。霊力分析する間に攻撃が当たる。
「破道の九十【黒棺】!!!」
九十番台を死神相手に使うのは致命傷になる可能性がある。しかし、この状況では周囲への被害が最も少ない最善の方法だ。
黒い直方体の壁を蹴って着地する。霊圧が弱くなった。
壁が崩壊した瞬間、鬼道を仕掛ける。
「縛道の九十九【禁】」
虚は倒れて動かなくなった。
「ふう……。」
息を深く吐いた。
「縛道の七十九【九曜縛】」
喜助さんの方も鎮圧成功。
「怪我無いッスか。」
「無いわよ。」
彼は私が戦っていたものを見た。
「九十番台詠唱破棄って……平子隊長が心配するわけだ。」
「あまり使うなって言われました。」
「僕の知らないうちに成長しちゃって。」
「【禁】は今回初めて使いました。上手くいって良かったです。」
「さて、夜一さんに連絡してみるッスか。」
喜助さんが曰くこれだけ騒いだのに全く尸魂界では対策が無かったと。誰も何も気づかなかったらしい。
「彼らは虚として処分されるのかな。」
そう尋ねると、その審判は中央四十六室が決めることだと言った。
「虚化した死神を元に戻す術って……あるよね。」
薄いカーテンの向こう側にみえる景色のように、ある情報が朧気にみえる。
「そこまではっきりと言うということは……何か心当たりが?」