第54章 original~反実仮想篇~
叫ぶ程度に余裕がある自分が怖い。でも、何故か勝てる自信があった。失礼だが平の死神に負ける気がしない。
「ハンデと言えば着物かな。」
と言いながら瞬歩を使う。男たちはそれに驚いたようで、私を追ってきた。
私だって、瞬歩はできてたけど、回数は出来なかった。でも何故だかできてしまったんだ。なんならこれ習得してるレベルだと思う。
「家からも十分離れたし、本気出すか!」
死神に向き直ると、彼らはここぞとばかりに縛道を駆使する。
「はい断空。死神でしょ?もっとしっかり戦ってよ。破道の七十三【双蓮蒼火墜】縛道の三十七【吊星】縛道の六十三【鎖条鎖縛】」
双蓮蒼火墜を放った直後に吊星を蜘蛛の糸のように張り巡らせた。そうすることで双蓮蒼火墜から逃れようと散った彼らを吊星という蜘蛛の糸で絡め取り、隙をついて鎖条鎖縛で締め上げて拘束ができる。
吊星も鎖条鎖縛の鎖もしっかり5人を拘束できるよう応用させた、所謂形態変化だ。一瞬のうちにこんなことを思いつくのだから案外死神向いてたかもしれない。
「貴方達の腰にあるものはお飾りですか?」
この煽り方……すんごい気持ちいい!!!
「悪い顔してますねぇ。」
喜助さんが林道から出てきた。
「用事済ませて帰ろうとしたら、鼻歌歌ってスキップしてるポインティが門を出たという目撃情報が相次いだんで急いできてみれば……」
「まさか本当に襲われるとは思いもよらなかった。」
喜助さんは私の鬼道をまじまじと見つめた。
「形態変化もできるんッスね。」
「やってみればできちゃうものね。」
「さてさて、隠密機動でも要請しますか?」
そんなことを言っていると、息苦しさと魂魄が押さえつけられるような霊圧を感じた。
「これって、虚の霊圧?」
「みたいッスね。」
そう言って喜助さんが斬魄刀に手をかけた。
「これだけの霊圧なら、護廷隊も動くでしょう。ポインティさん、貴女は家の中に隠れていてください。結界を張りますから、まだ安全でしょう。」
「喜助さんは?」
「僕は虚の鎮圧に。ここへの被害が無いようにしますよ。」
とは言え、この虚が並の虚では無いことは私にもわかる。喜助さんの力を信じていないわけではないが……。
それに、私も行かなければという使命感に駆られた。戦術を知らないから足でまといになるのではないか、なんてこと微塵も考えてなかった。
