第54章 original~反実仮想篇~
時にもやがかった記憶を思い出してはそれを裏付けるために図書館に向かう日が続く。
料理のレパートリーが増えていくのは事実だが、何も料理の記憶がクリアになっているのでは無い。例えば服飾。ワンピースやスカートというのは知識として知っていたが、もっと細やかな種類を知っている。
そう言えば、簡単な英語なら分かることが判明した。医学書を読んでいた時に、sick、heat、syndrome、〇〇ache、身体の名称など。そのことから、司書にお願いして英語の絵本を西梢局から取り寄せてもらった。英語なんて勉強したことないはずなのに読めてしまった。さらに、シンデレラや人魚姫、ヘンゼルとグレーテル、アンゼルセンやグリムの作家が書いた物語を思い出した。
そこで平子隊長が以前レコードを持っているので、何か思い出せるのかと思い、曲を聴かせてもらった。
「ジャズは詳しくないからだめか……コレクション見せてもらってもいいですか?」
「かまへんで。」
収録されている曲名を見ながらレコードを見る。
「クラシック音楽集……」
裏を見ると初めにあったのはヴィヴァルディ 四季より 春 この曲に関して何故かめちゃくちゃ詳しかった。
『期末テスト』という単語が浮かんだがそれもまたふっと消えてしまう。
「ドビュッシー 月の光、ショパン 仔犬のワルツ、チャイコフスキー!!!あー、やっぱり白鳥の情景か。」
思わず曲をハミングしてしまう。
「こっちのレコードは……モーツァルト、ベートーヴェン、バッハ、シューベルト、ここのラインナップでホフマンは渋いなぁ。お、タランテラあるじゃない。」
「なぁ喜助。」
「現世の音楽が好きだなんて知らなかったッスよ。」
「ポインティ、俺より詳しいと思う。」
いつ知ったのかわからないけれど、知ってるものが出てきたことが嬉しい。私の記憶が虚妄ではなかったと確信に至った。
「ポインティ、他に好きな曲ないか?仕入れたるわ。」
「バレエ音楽だと恐らく盛り上がります。あとはそうですね魔笛より夜の女王のアリアとかパパゲーノも好きです。」
「わかった、バレエ音楽やな。任せとき。」