第54章 original~反実仮想篇~
「確か、藍染副隊長の斬魄刀、鏡花水月は流水系でしたか?」
「あぁ。みたいやな。」
そう言ってカーテンを閉じる。
流水系、鏡花水月、
「完全催眠」
その言葉がほろりと出た。嗚呼、ぼんやりと霧がかったものが脳裏に浮かぶ。それを必死に捉えようと集中した。
「鏡花水月の本当の能力は、五感や霊感の支配、完全催眠、条件は刀の解放を見ること……」
ダメだ、また記憶が遠ざかっていく。
「どういうことや?」
「……実は私、数日前から自分の記憶にない記憶がふと思い浮かぶようになったんです。その記憶の欠片を拾って図書館とかで調べているのですが、それがなんなのか全くわからないんです。なぜそんな記憶があるのかも、意味することもまだ全く……」
「今のはその記憶の情報ッスか?」
「多分。」
「ポインティの記憶にない記憶ってのも気にはなるけれども、もしそれがほんまなら……」
「彼、自分の部下どころか最近では他の隊の隊士にも始解を見せてるっスよ。」
二人が顔を見合わせる。
「まっっって!この記憶が正しいかわからないのよ?どうしてこんな記憶があるのかわからない。すぐ鵜呑みにするのはまずいって。」
「いや、もしそう仮定すれば……暗躍することだって可能なわけや。」
「確証があるわけではないッスが、その可能性があるのならば慎重に調べましょう。」
私の謎の記憶を全面的に信用するなら、藍染副隊長が斬魄刀の能力を大衆の前で嘘をついていることが何を意味するか、悪いように捉えられかねない。
「その記憶に関しては十二番隊隊舎で聞きましょう。」
空き部屋に連れてこられて布団などが運び込まれる。
「埃っぽいので窓空けときます。」
ドカッと畳の上に座り込み、私にも座るように指示した。
「記憶について、詳しく聞かせてもらえませんか?」
「私と話してる時間あるんです?」
「ひよ里さんが飛び蹴りしてくるまでは大丈夫ッスよ!」