第54章 original~反実仮想篇~
「そういえば、以前倒れたそうですね。ギンから聞きました。あれから具合はいかがですか。」
困ったことで、その記憶も曖昧なのだが、恐らくは削られた魂魄の癒着に失敗した時のことだろう。
「職場復帰できるくらいには回復しました。」
「魂魄は霊力貯蓄タンクも兼ねています。それが削られたのですから、仕事に差し支えがあったのではないですか。あぁ、あの事件に関しての隊首会がありましたから、ある程度何があったか把握しているんです。」
「私の仕事は、そこまで霊力を使うものではないですから、支障はありません。癒着しなかった分が少なかったのが幸いでした。」
「そうでしたか。それは良かったですが、削られた魂魄は戻りませんからね。なんと言えばいいのか。」
夜が更けるのに反して、賑わいを見せる繁華街を歩いていく。仕事を終えた死神が一服のために往来している。
今のうちにはぐれようか、と思ったがそんな真似してもきっと巻けないという確信があった。
「そう、警戒しないでください。」
私の思考を読まれたのかと思うほどの絶妙なタイミングで彼は振り返った。
「君を取って食おうというわけでもない。」
言葉の凄みが背筋を凍らせる。
「……そういうところです。藍染副隊長は取っ付き難いんです。」
そう言って言葉を返した。頼むからその圧から解放して欲しい。
「平子隊長にもよく言われます。すいません、こういう性分なんです。」
また歩き始めた。この道を行けば五番隊隊舎だ。彼は話すのを辞めず、私の緊張を解すように優しい口調で話し始めた。
「それにしても、貴女の周りには人が集まりますね。」
「全て喜助さんを通した繋がりです。」
「きっかけはそうかもしれませんが、貴女の持つ魅力がそうさせるのでしょう。」
「褒めても何も出ませんよ。」