第54章 original~反実仮想篇~
「今日の先生、擬音語擬態語多くない?」
「確かに……」
「こう、ゴォオォオというイメージで霊力を沸かす感じ。それが出来たら次の段階に行こう。」
「ゴォオォオが出来たら、次は清流の如くさらさらと緩やかに流してみて。」
「えーと、君の名前は……」
「先生!急に名前忘れるの酷いですよ!楢津尾です!」
「割と特徴的な名前なのにね、ごめんごめん。えと楢津尾さんは……そう、最終段階まで来てるのね、えぇと、じゃあ」
「先生今日、その資料とにらめっこしすぎ!名前も忘れすぎ!」
「この資料が無いとどんな授業を予定してたか、皆がどこまでできてたかわかんないの〜」
うーん、やっぱり生徒の名前を忘れてるのはまずいよな。何年か見てる生徒は思い出せるけど、この子達のように授業を担当して1年や2年の子たちの名前が曖昧だ。
「物忘れかなぁ。」
「先生、いくつです?」
「16歳。」
「はっ、」
楢津尾が鼻で笑った。
「んなわけないでしょう。僕次何をしたらいいですか。」
「そうね、霊力を放つ練習かな。でも足並み揃えたいからミニ先生になってもらおう。」
「はーい」
次の授業の鬼道演習ではこんなことがないようにと、顔つきの生徒名簿とその子の評価について書いた私のメモを睨めっこする。
「おっと君は虎徹勇音さんだね。」
「はい。本日から鬼道演習の授業を受講する許可がおりました。よろしくお願いします。」
授業名簿には無かった顔だが、虎徹家は鬼道に長けた貴族であり、虎徹家の生徒はいつも私の授業では優秀だったので、彼女のことも入学時からチェックしていた。
「この時間に履修していた鬼道基礎論は単位が貰えるとのことでしたので、より実践的な鬼道の練習ができるこの授業を受講させていただきます。」
「アップを開始しましょう。貴方もみんなを見て行動してみて。」
演習場を3週走り、体を温めた後、短冊型に切った紙を持ち、霊力を扱って形状変化させる。その後、5mの先の的の中心を狙って霊力をぶつける。次に10m先の大きめの的に霊力を大 中 小とぶつける。
「虎徹さん、授業で鬼道の練習するのは初めて?」
「はい。ですが自主練はしていました。」
15分ほどで全員がアップを終えた。