第54章 original~反実仮想篇~
「あっ、簪……」
簪の事情を喜助さんがしってるようだったから、それとなく聞いてみることにした。
「修理はある程度出来てます。部品が一つ足りないのでもう少し待っててください。それにしても、ポインティに怪我がなくてよかった。」
思い出した。昔からの顔馴染みの天月ちゃんと彼女の同期でライバルの朽木白哉、彼らは直接受け持っている生徒では無いけれど、ひょんなことから鬼道の特別レッスンをしたときに、天月ちゃんの鬼道が逸れて、私に当たりかけたのを避けた際に簪が外れて壊れたんだった。
「急がないから構わないよ!」
「それでも、あれはお守りみたいなもんッスからね。特に、最近物騒なんで、ヒヤヒヤしてるんッスよ。本当は十二番隊の隊舎内にいてほしいくらいっス。」
それしたら、隊員の家族も住まわせることを許可する必要があると言うと、だから、我儘ばかり言ってられないんスよね、と言った。
「大丈夫だよ。私そこまでか弱くない。」
「ほんとっスか〜?」
と言いながら喜助さんを家の前まで見送る。
「忙しいの承知だけど、またお手伝いに行ってもいい?」
「大歓迎ッスよ。皆も喜びます。」
「うん!」
喜助さんは片手を上げると、そのまま瞬歩で戻ってしまった。
喜助さんからすれば私に見た目の変化はないようだ。
というのに、あの喜助さん。見慣れた顔なのに、「若い」と思った。かっこいいし、清潔にしとけば爽やかでも売れるし、可愛いさも兼ねてるから、イケメンの部類に入ると思う。でも、髭を生やしてもっと陰な雰囲気の喜助さんを見たことがある気がした。
「ぐぬぬぬぬぬ、なんだよこれ……」
全く思い出せないもんは仕方がない。今日はゆっくりして寝てしまおう。