第54章 original~反実仮想篇~
「おどかさないでよ!」
「いやぁ、そんなつもりはなかったんスよ?学校を無断欠勤したんスよね。時間になっても出勤しないから何か事情知らないか?と高橋サンに聞かれたんスよ。んで、手があいたんで、顔見に帰ったらアルバム見てるンスもん、顔色も良さそうだし……寝坊でもしたんスか?」
「このアルバムは急に見たくなって。学校は……うん、寝坊かな。」
「ありゃ、珍しいッスね。昔に思いを馳せることも、寝坊も。」
「今が充実してたら、過去振り返る余裕も思い出にふける必要もないものね。寝坊は朝弱いからなぁ。」
「起きてるけれど起き上がるまで時間かかりますからねぇ。昔から困った妹ッスよ。」
「じゃあ、毎日私のこと起こしてくれてもいいんだよ?恋人として。」
と笑いながら言うと、私の頭にぽんと手を置いて隣に座り込んだ。
「ポインティには寂しい思いをさせてしまってる、自覚はあります。でもやっと自分のやれる事、やりたい事が形になって、認めてもらえている。僕の部下にそれを付き合わせてるんで、自分だけがプライベートを優先できない。これは言い訳でもある、手前勝手でもあります。今受け持ってる大きなヤマが一段落するまでは待ってほしい。」
そういえば、魂魄消失案件で技術開発局はかなり忙しいという。前にもいつ帰れるかわからないと喜助さんが言い残していた。そんななかわざわざ帰ってきてくれたのか。それだけでも充分だ。
「喜助さん、違うよ。私、今とても幸せだから。寂しさを埋めたくてアルバムを開いてるんじゃないの。」
「ほんとっスか?」
「私は隊長である喜助さんも好きだからね。仕事してる喜助さんは活き活きとしてて、楽しそうだし、そんな姿を見てたら私も楽しくなるもの。」
「はは、それ100年後にも同じこと言ってくれますか?」
「多分言えると思う。」
「ま、ポインティの優しさに甘えてちゃ、男として失格だ。ケジメはつけますよ。」
「またここに沢山の思い出残せるといいね。」
と笑いあって、暫くは昔の思い出に思いを馳せた。
「ごめんね、心配かけて。」
「いえ。けど本当に身体が悪ければ、ここ守ってくれてる、隠密機動の方に言うんッスよ。簪も無いんッスから、そう簡単には駆け付けられませんし。」